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坂の上の雲

成敗は天にありと雖(いえど)も人事を尽(つく)さずして天、天と云ふことなかれ http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/091011/acd0910110216000-n1.htm 若いころにはなにをしようかということであり、老いては何をしたかということである http://san…

城下の人(石光真清の手記一)、曠野の花(石光真清の手記二)

凡衆は水に浮かぶ木の葉の様なものだ。大勢に流されて赴く所に従うが、憂国の士はそうは出来ぬ。いつかは大勢を率いるか、あるいはこれを支えていくものだ。それを忘れてはなりませぬぞ 櫻井よしこ女史の紹介されたこの文句に魅了され 手にした。満州で活躍…

ある明治人の記録ー会津人柴五郎の遺書

義和団の乱において、各国公使館が争乱に巻き込まれた際 冷静な対応で各国から賞賛を浴びた柴中佐 彼が晩年になった時、少年時代の悲憤を綴ったもので 過酷ともいえる艱難辛苦が回想されている。 一藩あげての流罪に等しい処分を受けた会津藩 会津藩士の薩摩…

真夏のオリオン

太平洋戦争末期 連合艦隊壊滅後、日本海軍に残された潜水艦隊は 西太平洋を北上する敵船団の攻撃を命じられる。 イ77に乗り込む若き艦長倉下は、 心寄せる女性からお守りとして 託された楽譜を抱き、米艦艇との戦いに臨む。 修理中の魚雷に潰された水兵、 残…

雷撃深度一九・五

日本の広島と長崎に投下した原爆をテニアンまで 運搬したインディアポリスが 日本の潜水艦伊58に沈められた史実に基づいたフィクションで 間もなく公開される映画「真夏のオリオン」の 原作となった第二次世界大戦軍事物。 人物描写にされほど力が入っていな…

レッドゾーン

ハゲタカシリーズ第3作 アカマという架空の自動車会社を舞台に 企業買収の攻防を描いた経済エンターティメント小説 世界でも有数の自動車会社アカマに対して 中国人がTOBを発表。 社内のスキャンダルをネタに家族的経営で 一枚岩と云われたいたアカマ経営陣…

op.ローズダスト

福井晴敏、ダイスシリーズ最新作。 これまでの作品同様、少年期に心に傷を負った主人公の青年と 人生にややくたびれた中年の魂が交錯し 青年の心が癒されるというダイスシリーズのパターンを踏襲した設定に 少々の飽きを感じるものの それを補ってあまりある…

再起

ひさびさのディック・フランシス 元ジョッキーにして探偵、隻腕のシッド・ハレー四度登場 この一冊は、長い久闊を除するに十分値する作品である。 心の支えであった妻を失い、 執筆の意欲を失った作者が復活に選んだ主人公はシッドハレー。 栄光のチャンピオ…

ドナウの叫び

日本に帰化して芸術家としての 生涯を全うしたワグナー・ナンドールの伝記。 ハンガリーのトランシルバニア地方ナジュバラド市 (現在のルーマニア・オラデア市)に1922年に生まれ、 医者を務める厳格な父に育てられる。 若くして天与の才である彫刻に目覚め…

闇の子供たち

このおぞましい現実を前に何を述べるべきだろうか。 この小説は、フィクションであるから 登場する人物や団体は架空であるにも関わらず 目を背けたくなる事実に打ちのめされ のど元に匕首を突きつけられたような気分になった。 貧しいタイの山奥では およそ1…

紫禁城の黄昏

清朝最後の皇帝にして、 満州国唯一の皇帝溥儀の帝師・ジョンストンによる 清朝崩壊の記録。 東京裁判では、証拠として採用されなかったのは その記録の緻密さ、正確さ故かー。 この記録が万人の目に晒されれば 日本軍の政略であると信じられている満州国建…

お腹召しませ

公金をくすねて失踪した婿のかわりに 腹を切るはめになった養父 潔く死ななければ家名断絶という窮状に悩んだ彼は 土壇場で悟りにも似た一つの真実に気がつく。 美しく散るのが武士の嗜みー そんな美学をあざ笑う、したたかな下級武士の生き様を描いた 浅田…

作家的時評

ミステリー作家の高村薫が、 平成12年である2000年から平成19年である2007年まで 朝日、読売、毎日、信濃毎日、中国新聞など全国と地方紙に 書き綴った世評をまとめたもの。 執筆した当時は、本として一冊にまとめることなど おそらく意識していなかっただろ…

転進

転進とは戦時中、 退却という言葉を使いたがらなかった辻を 納得させるために、瀬島が使った造語だという。 昨年亡くなった陸軍参謀の瀬島龍三の人生を 知己があった東急グループの役員が綴った本。 生前、自分の事を語らなかった瀬島との会話や 周囲の人物…

のぼうの城

強き者が強きを呼んで果てしなく強さを増していく一方で、 弱き者は際限なく虐げられ、踏みつけにされ、 一片の誇りを持つことさえも許されない。 小才のきく者だけがくるくると回る頭でうまく立ち回り、 人がましい顔で幅をきかす。 ならば無能で、人が良く…

ローマ人の物語

ローマ帝国が蛮族の侵入などによって 徐々に衰退していく3世紀の様子が描かれていた。 たとえ無能な者が皇帝となっても びくともしなかった帝国が、 皇帝の失策、その他で大きくその力を弱めた。 税収を向上させ国家財政を改善するためか、 皇帝カラカラは、…

ファーストフードが世界を食い尽くす

映画「ファーストフード・ネーション」の 記事のページに紹介されていた内容に 興味を覚えて、購入してみた。 一読して、紹介どおり、 ファーストフードで食品を購入することに 大きな抵抗を覚えるようになった。 世界を席巻するファーストフードチェーンの…

 茨の木

歌手のさだまさし、4作目の小説。 本作も前作まで同様やさしさに満ちた心温まる物語となっている。 読み進めていて、不意に目頭が熱くなる時が幾度があった。 主人公は、酒屋の次男として生まれた真二 実家のある福岡を出て上京し雑誌の編集者を勤める彼は 4…

鈍感力

恋愛作家渡辺淳一が自身の医者や作家の経験から 成功するコツを「鈍感力」と名付けて それらを紹介したエッセーである。 曰く、敏感な人間は外部からの批評や指導に打たれ弱く 才能があっても育つ前に潰れてしまうことが多いが 鈍感な人間は、多少の誹謗中傷…

精霊の守り人

上橋菜穂子の「守り人」シリーズ3冊を読了。 エアチェックはしていないが 昨年BSでアニメされていたことを覚えていたので 本屋で見かけた際、どんなものかと思案し手にとってみた。 作者曰く、児童文学として執筆したとのことだが 大人が読んでも、充分に楽…

マグマ

「ハゲタカ」でブレイクした真山仁のエンターティメントノベル。 贖罪のため地熱発電に残り少ない命を賭けた御室 苦労知らずのお坊ちゃま経営で会社を左前にした安藤 その会社にターンアランドマネージャーとして乗り込む野上妙子 本社の覚えめでたくするた…

大人の見識

旧帝国海軍での勤務経験を持つ阿川弘之氏が 日本人の国民性ともいえる「軽躁」について指摘し それを戒めた書。 古来より、我が国では蛮勇が慎重より尊ばれ、 軽躁が剛勇と誤解されることかしばしばあり そうした軽躁が国全体に蔓延したのが 大東亜戦争の頃…

乳と卵

大阪に住む緑子と巻子の母娘が、 上京して過ごした2泊3日にわたる行動を描いたフィクション。 現代女性の気質を文体で表現しようと試みているせいか 文章がやたらと読みづらかった。 胸が膨み、少女から女性へと変化する体に葛藤し 美容整形で豊胸手術を考え…

劫尽童女

恩田陸の小説、佐々木悟郎のカバーイラスト惹かれて購入 遺伝子操作により類まれな能力を持って生まれた子供"遙"。 彼女を作り出した謎の組織「Zoo」は、 組織から離脱した伊勢崎博士と遙の行方を執拗に追う。 子供とは思えない知性と運動能力、 そしてサイ…

非属の才能

中国で反日運動華やかなりし頃、日本にも反省すべき点があると 自サイトで発言し、瞬く間に炎上したうすらヒダリっぽい漫画家山田玲治が 「非属」という自己の考え方について語ったもので 平均的な行動を取らないー同調圧力に屈しないで生きろという類のこと…

宿澤広朗 運を支配した男

身長が160センチ台の小兵ながら、 早稲田大ラグビー部主将、日本代表として活躍し 就職した住友銀行でも無類の勝負強さを発揮して 将来の頭取候補と目されながら 50代半ば倒れ多くの人に惜しまれつつ逝去した宿澤広朗の半生を綴ったもの。 宿澤は埼玉県の熊…

とてつもない日本

知り合いのMASH氏がmixiで絶賛していたので購入してみた。 バブル以降低迷が続く経済、 テレビをつければ陰惨な事件と脳天気な番組ばかり、 政治家は相互中傷の椅子取り合戦に終始し ゆとり教育は、若者の白痴化を確実に加速させる。 右を向いても左を向いて…

明治天皇

日本文化を研究し続けたドナルド・キーン氏が 明治天皇のご生誕から崩御されるまでを、 折々の出来事を交えて、時系列に綴ったものである。 明治天皇ご自身の考え方については、それを表した文献が少なく 詠まれた歌などから推測するしかなく 客観的な記述で…

草原からの使者

浅田次郎の異色の短編集。 沙高樓に集う紳士達がそれぞれに体験した奇譚を語る。 宰相を狙った代議士の私設秘書が主から受けた奇妙な依頼の顛末 十九代にわたる財閥の御曹司のヨーロッパにおける怪奇話 莫大な義父の財産を継いだ放蕩息子に幸運をもたらした…

甲子園への遺言

現在、毎週土曜日NHKで放映されている異色の学園ドラマ 「フルスイング」の原作。 南海ホークスを皮切りに、コーチとしてプロ野球各球団を渡り歩き 福岡県筑紫台高校に59歳にて赴任した高畠導宏の 半生を追ったノンフィクション。 高校時代、甲子園出場の経…