とてつもない日本

とてつもない日本 (新潮新書)

知り合いのMASH氏がmixiで絶賛していたので購入してみた。


バブル以降低迷が続く経済、
テレビをつければ陰惨な事件と脳天気な番組ばかり、
政治家は相互中傷の椅子取り合戦に終始し
ゆとり教育は、若者の白痴化を確実に加速させる。
右を向いても左を向いても日本の未来は真っ暗といいたくなるなか
ちょっと待った声を上げるおっさんがいた。


かつて炭坑で賑わい、廃れた筑豊をIT産業の基地として
蘇らせるきっかけとなった九産大の情報学部誘致に一役買った麻生太郎氏は
悲観的にならずに、希望を持つことが大事と説く。
なぜなら、日本と日本人には、自身が気がつかない力を持っているからだと。


麻生太郎氏といえば、漫画などのサブカルチャー好きのイメージが強いが
どうしてどうして保守本流的な考え方を基本に漫画的な軽妙さと洒脱さを
併せ持つ人物ととらえた方がいいだろう。
その氏が云うには
勤勉性は、世界に誇る日本の美徳であり
これがある限りに日本は大丈夫だ、と。


教育、農業、産業、労働など多くの問題点について
彼は独自のユニークな視点で解決方法を提案している。
実際、彼の手法が取り入れられるかどうかは別にして
彼の意見は問題の本質を衝くものであり、
彼の話を聞くと日本の問題の半分はすでに解決しているような気になってしまう。
今は理解されなくても未来にわかってもらえればいい
だから政治家にはビジョンが大事であると説く彼に
若者が惹きつけられるのもわかるような気がする。
彼以外の政治家の誰に、希望を託せるというのだろうか。
その点で大風呂敷といえなくもないが
大風呂敷で結構。閉塞した状況を打開するのは常に楽天的な馬鹿になれる人物である。
小賢しいだけの秀才は官僚とサヨクだけで充分である。



さて、文藝春秋の最新号には、
CO2削減を謳った京都議定書は、
日本とアジアの発展を封じ込める意図があったとのレポートが記されている。
1990年を基準に算定しすればEUは削減どころか、増加してもクリアできる内容であり
先進国では日本のみが規制を受ける状況となっている。
こうした日本に厳しい風が吹くとき、私は必ず本田宗一郎を思い出す。
自動車の排気ガス規制、オイルショックなどの世界中のメーカーが右往左往するとき
ホンダが飛躍するチャンスとばかりに大号令をかけ、社員の士気を高めこれを実現させ
F1においてバッシングを受けた時ですら、
同じ条件ならホンダが勝つに決まってるのにあいつらバカだと言い放つ人物をである。




どんなに日本に悪い風が吹くとも、
本田宗一郎はいなくても、心配するなよ
だって日本には麻生太郎がいるじゃないかと言いたくなると一冊だった。