草原からの使者

沙高楼綺譚 草原からの使者

浅田次郎の異色の短編集。
沙高樓に集う紳士達がそれぞれに体験した奇譚を語る。
宰相を狙った代議士の私設秘書が主から受けた奇妙な依頼の顛末
十九代にわたる財閥の御曹司のヨーロッパにおける怪奇話
莫大な義父の財産を継いだ放蕩息子に幸運をもたらした出会い、
退役した米国軍人の尾籠な滑稽話など
お涙頂戴もしくは豪快な笑いがウリの浅田次郎作品としては
ちょっと不思議な読後感が残る。
「五郎治殿後始末」にも似た笑うに笑えぬオチが浅田の新境地なのか
それとも、次の作品への実験作ととらえるべきか、
ちょっと判別がつかなかった。