ヤングサンデーでダービージョッキー以前に、
故・若井や坂田、上田らが世界GPで活躍する物語を描いた一色登希彦が
「Motive」をヤングジャンプからヤングキングに移籍させて連載を開始した。
もっとも、YJに不定期連載していた話とは、がらりと内容を変えて、
昔レースをしていたことのあるサラリーマンが、ふとしたきっかけで
埋み火のように残っていたレースへの思いを爆発させ、
サーキットに舞い戻るという筋書きの物語ではあるが
先月NHKのBSハイビジョンで放送された伝説のレーシングマシンRC166の特集番組を
録画しておいたビデオを見た。
スタジオにRC166を持ちこんで、バイクジャーナリストやその道のマニアの前で
分解して、その精密な作りをアピールするのが狙いのようだったが
キャスターの無知さ、ゲストの無愛想でマニア受けしかしない解説など
はっきりいって退屈で期待はずれの番組だった。
それでも、途中で入るCG画像によるエンジンの運動図解や古いレース映像、
RC166の美しさに、かろうじて興味をつないだのだが
とてもRC166の素晴らしさを伝えているとは思えず、フラストレーションがたまった。
そもそも、日本が敗戦で焦土と化して10年あまりしか経っていないのに
世界的に無名なホンダがいきなり頂点を目指そうとしたのは何故か。
しかも、理論的には2ストロークエンジンよりパワーの落ちる4ストロークエンジンで
世界に挑み、幾度も跳ね返され、その壁を乗り越えるために多気筒エンジンを採用して
複雑極まりないエンジンを作り上げた狂気ともいえるホンダイズムを抜きにして
RC166の真の価値が理解できるわけがない。
ホンダのエンジンが時計のように精密と云われるようになったのは
ホンダの強さに訝しさを覚えた関係者がレース後にクレームをつけ
マシンを分解したことがきっかけであるが
その背景にあった「日本人に、そんなマシンが作れるわけがない」という
人種差別にも似た感情がレースシーンを支配していた事実を語らず
そして、それを一夜にして覆したホンダの痛快さを知らずして、何をかいわんやである。
モータースポーツを語るなら、魂に火を点けろ
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