日本が起こした奇跡



http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=329372&log=20070616

日本のテレビメディアは「パレスチナで混乱している。困ったものだ」ぐらいの扱いですし、新聞も朝日などは「ハマス優勢」のような報じ方で、これでジャーナリズムと名乗るのですから呆れます。


パレスチナ問題と言えば、アメリカに支援された邪悪なイスラエルと、可哀想なパレスチナ難民という図式でしか長年捉えてこなかった故に、パレスチナ内部の対立という事態をどう論じればいいのか判断できないのでしょう。


その点、日経・金沢記者の冷静な署名記事は秀逸と言わざるを得ません。


アッバス氏ら率いるファタハが掌握しているのは、要地エルサレムを扼するヨルダン川西岸地区、一方、シリアあるいはイランの影響下にあるハマスが制圧したと言ってるのがガザ地区です。
どちらの地区が戦略的に価値があるかと言えば、地図を見れば一発なわけで、ハマスは無価値なガザに「押し込められた」と見てよいわけです。


金沢記者は、ファタハの「西岸政府」とハマスの「ガザ政府」の二分化が固定すれば、イスラエルは穏健な「西岸政府」と単独和平を結ぶのではないかと示唆していますが、これは慧眼だと思います。


緑地と水資源が多く、日本が「平和と繁栄の回廊」を築こうとしているのもこの西岸地区であり、ファタハイスラエル両者にとって和平はメリットを享受できる関係です。


漫画家・遠藤浩輝の作品「EDEN」には
「すべての戦争は、経済的格差と構造的差別に起因する」という台詞が出てくる。
漫画好きで有名な麻生太郎氏がこの漫画を読んでいたかどうか知らないが
彼は、パレスチナイスラエルの抗争の原因が貧困にあることと推定し
一つの奇跡を起こそうとした。


豊さへ歩み始めたヨルダン川西岸と貧困にあえぐガザ
2007年6月の時点でその差がどれほどの大きかったか知らないが
ガザを制したハマスイスラエルにテロを仕掛けた時
確かにイスラエルは西岸をスルーしてガザだけに報復した。


平和と繁栄の回廊・・・この提案が麻生太郎氏が
音頭を取っていたとは知らなかった。
自身の不明を恥じるとともに、
この人物が宰相から退いたことが返す返す残念である。


こんなに面白く仕事をしているオッサンを
寄ってたかって潰した連中は、何を見ていたのだろう。