石原莞爾とジョージ・ブッシュ


http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/36273/

久間防衛相「イラク開戦判断は誤り」と米大統領批判01/24 17:36


久間章生防衛相は24日午後、日本記者クラブで会見し、イラク戦争について「(イラクに)核兵器がさもあるかのような状況でブッシュ米大統領は踏み切ったのだろうが、その判断が間違っていたと思う」と指摘、ブッシュ大統領の開戦判断を批判した。
さらに戦後処理についても「後をどうやってうまく処理するか、処方箋(せん)がないままだった」と述べた。7月で期限が切れるイラク復興支援特別措置法の延長問題については、主要国(G8)がイラクアフガニスタンの復興支援などに参加している現状を挙げ「日本だけが何もしないでいいのか。(日本が撤退したら)足並みがそろわないのではないかという気がする。そういうことも判断の基準になってくる」と述べ、各国の動向を見極めることが重要との認識を示した。

安彦良和の漫画「虹色のトロツキー」に
満州事変の立役者石原莞爾舞鶴要塞司令官の閑職に左遷された時
日中が泥沼の戦い始まった原因は「満州事変による満州国建国にあるのでは」
と問いつめられ、「間違いだったと認めることはできない」と
答える場面がある。
漫画上の話で実際にそういう場面があったかどうか定かでないが
当時五十万を越える日本人が大陸に渡り生活を営みを始め
様々な局面や場所において戦い多くの戦死者を出しながらも
満州における日本の権益を守らんがために苦闘を続けている状況で
その当事者が「失敗だった」などと言えよう筈がない。


翻って、今のイラク情勢というのは
満州を建国した時の当地の情勢に似ているような気がする。
軍閥により支配された地方をそのまま看過すれば
満州ソビエトの支配化に組み込まれ、
日本列島が大きな脅威にさらされるという危機を回避するがために
五族協和と八紘一宇という大義名分を掲げ満州国を建国した史実にである。


フセイン大統領によるイラク統治を許せば
サウジアラビアの今後の展開と相まって反米一大勢力が出現し
アメリカが更なるテロの脅威さらされるばかりか
安定した石油産出が望めなくなり、アメリカの経済が失速する危機が訪れ
それを防ぐために大量破壊兵器の破壊という口実を掲げ
開戦に踏み切り、イラクを占領した後に
自由民主主義によるイラク人民の解放であると
占領政策を正当化しようとしているアメリカの姿は
なんとも70年前の満州に似ているではないか。


おまけに派遣軍による力を背景に現地政府を確立した後
占領政策の過失等から、第三国の政府を援助を受けた
現地武装勢力に煩わされるところまでそっくりである。


この戦争の結果から日本が考えなければいけないのは
フセインイラクから排除しなければ短期はともかく長期的に
高値とはいえ果たして石油が安定して日本に入ってきたかどうかである。
経済安定という観点に立てば、
アメリカのイラク開戦は日本にとって有益になったという側面も存在する。


大量破壊兵器がただの口実だったとしても
アメリカの対イラク戦勝後、石油が安定して日本に供給にされ、
その利益を享受しているのは紛れもない事実であり
そしてアメリカのイラク攻撃を支持して、
戦後復興に日本政府が協力した経緯があるにも関わらず
政府与党のしかも現在の当事者中の当事者である防衛大臣の口から
イラク開戦は間違い」との文句を聞く日が来ようとは予想だにしなかった。


虹色のトロツキー (5) (中公文庫―コミック版)

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