戦争と軍政

http://www.asahi.com/international/update/0110/017.html

 ナショナル・プレスクラブでの講演で述べた。「米国民が11月に(中間選挙で)発した明確なメッセージは、イラクでの針路を変えて米軍を撤退し始めなければならないということで、戦線を拡大せよということではない。一時増派と表現しても、戦線拡大に変わりはない」と指摘した。


どこの新聞各紙もブッシュ大統領の米軍増派の決定について
否定的な見解を掲載している。
しかし、これは最も現実的な判断であると思う。
ここで最悪の選択は、米軍を撤退させることである。
米軍を始め各国が撤退する事態となれば、宗派間の対立はさらに激化し
多くの人間がテロに巻き込まれることになる。


米軍がイラクを攻めたことについての判断の適否について
私は未だに判断が下せないでいる。
しかし、それでもいまここで米軍が撤退することは正しくないと断言する。
イラクベトナム化という意見もあるが、それは正しくない。
ベトナムは北との戦争であり、イラクは内政の問題だ。
たとえテロを煽っているのが、イランやシリアだったとしても
イラク国内の治安を回復させるのが米軍のミッションであるからだ。
戦争自体は、すでに終わっている。
戦争と統治(内戦)では、問題の次元が違う。
それを混同する意見が多いのは、
報道機関が恣意的に反ブッシュを演出したいからではないだろうか。


ブッシュ大統領の失敗は、
少人数の兵力で戦争に勝つことはできても、
少人数の兵力で統治することはできないという事実を認めるが遅れたことにある。