日本の危機


日本の危機 (新潮文庫)


7年前に出版された本だが、
たまたま機会があって読んでみた。
自主財源が8%しかない夕張市に代表される地方行政の無駄遣い
真面目に働く人間が損をする源泉徴収
異常ともいえるほどの高率な累進課税の税制
医療問題、新聞の功罪、農協、郵政、教育、年金などの諸問題を
担当者を長期ビジョンを持たず
その場かぎりの姑息な手段で窮地をしのぎ状況を悪化させてきたかを
ことこまかな数字を挙げて指摘している。


現場の担当者のずさんさもさることながら
利権に群がり改革を拒絶する政治屋に非常な嫌悪感を感じる。
なぜなら、彼らこそが問題の解決を阻み、問題の先送りで
事実をより不透明かつアンタッチャブルな聖域に押しあげたからだ。
それが証拠に、櫻井女史が指摘した事項は今も
何一つ根本的な解決をしていない。
夕張市も破綻するべくして破綻した。
垂れ流しとなっている財政投融資も未だその殆どは改まっていない。



こうした問題は何故おきるのか。
日本人は戦後民主主義というお題目のなかで、責任の取り方を
忘れてしまったとしかいいようがない。
こうした事例は、高杉良が描く一連の企業小説からも読みとることができる。
銀行や企業のトップの恐ろしいほどの無責任さと厚顔さは
同じ日本人かと疑いたくなるほどである。



少なくても私の世代は、次世代に残す財産はなくとも
日本人はかくあるべきとの姿を残したいものである。