カーブボール

生物兵器の開発など大量破壊兵器の所持を理由に
アメリカがイラクフセイン政権の打倒を掲げ
イラクに攻め込んだ2003年のイラク戦争


その当時、tacaQ自身の考えとしては、
イラク大量破壊兵器を所持しているとの認識のもとに
アメリカのブッシュ政権が決定したイラク攻撃に
賛同ないし肯定していた。
戦闘が終結し、アメリカを中心となって
大量破壊兵器の捜索したものの、現物はおろか
その痕跡すら見つけることができなかった。


自信満々に国連の安全保障理事会
イラク生物兵器保有について証拠を示した
パウエル国務長官の演説や
2003年のブッシュによる一般教書演説は
壮大なフェイクだったということが
戦闘終結から約一年たったころ、徐々に明らかになったとき
自分自身の愚かさと浅はかさを呪うともに
自身の不明を恥じた。



石油の利権欲しさに、言いがかりをつけて
イラクを乗っ取っりをしかけたといった
陰謀めいた言説もあったが
事実は、ドイツ発の真贋不明の怪しげな情報に
踊らされた結果に過ぎない。
踊らされたというよりは、自ら踊ったというのが
適切な表現かもしれない。

2001年の911同時多発テロ、郵便による炭疽菌テロ以降
アメリカが国家ぐるみで
疑わしきものは何でもテロリストに見える総ヒステリーとなり
イラクが何が悪いことを企んでいるはずだという思い込みだけで
戦争を起こしたということである。


幽霊の正体みたり枯れ尾花ともいえるが、
戦争やその後の刑罰で命を落としたイラク人は
アメリカに対しては何の瑕疵も持っていなかったのである。
結果としてアメリカは、起こさなくていい戦争を起こし
多数の人間を死に至らしめ、イラクばかりか
周囲の国をも巻き込み不安定化させ、
中東の平和をより遠いものにしてしまったのである。

本書は、そのドイツ発の不明の怪しげな情報源にスポットを当て
その怪情報によって、CIAがどのように踊ったかを明らかにしている。
いい加減な情報を提供した亡命イラク人も悪いが
本当の悪人は誰だったのか、その答えを得るには必読の書といえるだろう。