本気で言いたいことがある


本気で言いたいことがある (新潮新書)


今の世の中は、僕の好きな日本とは余りにも違ってきてしまったから、僭越なのを承知で言っておきたいこともあるんですよね。特に、「この間違いだけはするなよ」というのは、親の義務として伝えないといけない。もちろん、普段から折に触れて話してはいるけど、全部話し切れている自信はない。
だから、この本はある意味では指針であり、これだけは言っておきたいという遺言でもある。息子や娘に読んで欲しいのももちろんですが、これから日本で生きていく、この国の「子供たちヶにも伝わってくれればいいな、と思います。

新書のオビについていた「美しい日本を取り戻すために」
という文句に惹かれて購入。
シンガーソングライターとしてばかりでなく
物書きとしても非凡な才能をもつさだまさしが書き下ろしたこの本は
今の日本人が見失ったものをわかりやすい形で著している。


危険を察知するために使われる炭坑のカナリアでありたいと言う作者の言葉は
やさしさに餓えている心に深く染み入るものがある。
子育ては国育て、使えば増える勇気と元気、感謝をなくした日本人、地球は子孫から借り物など
生命や宗教、教育、道徳、コミュニケーション、社会の多岐にわたるテーマを
ユニークな視点で述べている。


桜の前線の移動速度が平均すると秒速23センチであることから
桜前線はお母さんの足であると表現するが
それは彼が素晴らしい表現者であることを証している好例の一つであろう。
彼が教師であれば成優秀な生徒は生まれなくても
感受性豊かな人間が育ったろうとつい想像してなってしまう。
本書には厳しい辛口の指摘が多いが、優しいそんな彼の優しく暖かい人柄を
十分に伺いしることができる。



「大事なものを置き忘れちゃいませんか」
と訴えるかのような彼の文章にただ頷くばかりである。



精霊流し (幻冬舎文庫)

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