アントキノイノチ


アントキノイノチ (幻冬舎文庫)

アントキノイノチ (幻冬舎文庫)

永島杏平は、同級生の悪意をきっかけに
失語症をわずらい高校を中退ー
遺品整理会社に見習いとして
先輩の佐相らとともに「仏さんを助ける」仕事を手伝う。


遺品整理会社ーそれは、故人の遺品を整理するのみならず
部屋の清掃なども引き受け、
並の神経では耐え難い惨状の現場に足を踏み入れるー
究極の3Kともいえる仕事であった。
死後、数月後にして発見された独居死した人間の部屋は
故人の体液が滲み出したり、虫や蛆の死骸がそこかしこに溢れ
足の踏み場がないほどの無数のゴキブリがうごめく。


それでも彼らは「仏さんを助ける」ために、いや
その気持ちゆえに、働く。


生きている限り、いずれは訪れるであろう死ではあるものの
死と向きあうにはまだ若すぎる筈の二十一歳の青年は、
悲惨な現場を重ねながら、
同じような心の傷を負った同い年の女性と生きることの
意味を見つけようとする。


普通から外れた青年たちによる人情あふれる涙と感動の物語
歌手さだまさしの傑作小説