ライオンハート

ライオンハート (新潮文庫)


数年前、初めて会った人間から
「初対面の気がしない」と言われ
しばらくして「tacaQは私にとって内臓のようなもの」と
表現されたことがある。
なんとなく言いたいことは判ったので、
面白い表現するヤツだな思ってその言葉を心に留めていた。
そんな比喩を使う人間はそう滅多にいないだろうと思っていたら
「あなたは私のライオンハート(心臓)」と
愛情表現をする小説を見つけた。
恩田陸ライオンハートである。



イギリスで、フランスで、アメリカで、パナマ
或いは20世紀で、19世紀で、16世紀で
時空を越えて巡り会うエリザベスとエドワード
それぞれの人生において出会う前から
それぞれが自分にとってかけがえのない相手だという予感を持ち
前世で出会った記憶が蘇り
出会いの瞬間にはこの上ない歓喜に包まれるが
決して結ばれることなく、ほんの一瞬しか一緒に過ごすことしかできない。
神のいたずらか、何かの呪いか。
お互いに惹かれながらも添い遂げることが出来ない悲しい生命の輪廻の物語に
胸が締め付けられるように切なくなり、引き込まれてしまった。


さて前述の友人と前世で会っていたのか、tacaQの記憶には今のところない