拉致問題を問え


郵政民営化のみが選挙の焦点となった観があり
悲しいかな、拉致問題が話題になることはきわめて希な状況となっている。
いや真に悲しむべきは、ごく希に投票に値する人物はいても
投票に値すべき政党が今この国に見あたらないことなのかも知れない。


Dr.マッコイ氏のDr.マッコイの非論理的な世界
拉致問題に対する各党のマニフェストが比較されている。
一読するとどこの政党の発表にも
"解決に向けて努力""積極的に"と小気味のいい言葉が並んでいるが
私には心に響かぬ付け焼き刃の空疎な文字だけが踊っているように思える。

■産経朝刊(大阪版)総合面の総選挙特集<「拉致」風化の危機>から引用
 「拉致問題?論点にあがっていないことをわざわざ取り上げる必要は感じないですね」。新潟2区で立候補を予定する民主新人、鷲尾英一郎はあっさりと答えた。


 新潟県は、拉致被害者横田めぐみ北朝鮮工作員に拉致された現場であり、北朝鮮の貨客船「万景峰92」が頻繁に寄港する新潟港がある「拉致問題の本丸」(自民党関係者)だ。しかし、公募で八月中旬に東京都から転居してきた鷲尾は、有権者の反応から、拉致問題は争点にならないと直感しているという。


 新潟1区の民主党前職、西村智奈美の選対・政策広報担当者も「前回は拉致問題に最も生ぬるいといわれながらも、初当選を果たした。拉致問題への姿勢は投票に影響しない」と強調する。今回の選挙戦でも、拉致問題は「チラシに重点政策として書く程度」という。

新聞社のサイトでは落ちてないのでぼやきくっくりさんのところから引用
tacaQもこの記事が掲載された産経新聞を読んだが、憤りが収まらない。
今、なお少なくない数の同胞が北朝鮮によって拉致されたままだというのに
得票につながらなければ、
拉致問題を無視するというような見識の低い人間を擁立する民主党
話題性だけで国家観がゼロに等しい片山さつき、堀江某など担ぐ自民党指導部は、
党利党略に目がくらみ国家の重さを忘れた阿呆の集まりであると言い切るのは
言葉が過ぎるだろうか。

Q7. なかなか彼らが、ここで思うように喋れない理由について、脅されているんではないか、いろいろな推測がなされていますが、その辺はどのようにお考えでしょうか?


A7. いくつか考えられますが、一つは、お前たちが日本でペラペラ喋れば、北朝鮮に残っている拉致被害者が無事ではすまないぞ、帰れなくなるぞと言われている可能性があります。あと、北朝鮮の非常に野卑なところですが、お互いに監視をさせてそれぞれの弱点を全部チェックして把握している可能性が高く、それを暴露するぞと脅している可能性があります。


 蓮池さんは、子供たちが帰ってくるまでは、ぽつりぽつりと話していたわけです。私自身は、子供たちが帰ってくれば、安心してもっと喋ってくれるだろうと期待していました。ところが逆に、子供たちが帰った後の方が、却って喋らなくなってしまった。やはりこれは、明らかに何ならかの圧力がかかった証拠だと思います。


 北朝鮮側は、当然5人の電話番号など連絡先を掌握していると思います。例の、北朝鮮に戻ってしまった平島筆子さんも電話番号を捉まれていて、北朝鮮の保衛部などから直接電話がかかっていたものと思われます。ですから、5人の所へも当然脅迫はなされていると思います。


 日本にいる脱北者の許にも、北朝鮮から直接脅迫がなされている例もあります。

log氏の「安進明氏、蓮池薫氏コメントに反駁という」というエントリーから引用
オリジナルは「特定失踪者問題調査会メールマガジン」だという。


以前、曽我ひとみさんが、自分の拉致を手助けした人間を居住場所の近くで
見かけたという話*1が持ち上がったことを考えれば
この安進明の言葉を滑稽無糖と一笑に付することはできない。
脱北者が、北朝鮮によって監視され、半ば脅迫されているとするならば
それは平和と云われているこの国の安全保障体制に欠陥があることを証しており
あの国の犯罪が日本において行われても、抗うことが不可能であることを意味している。
今この瞬間にも、自分の回りにいる人間が38度線の向こう側へ拉致されるかも知れない。
この状況が恐怖以外の何者あろうか。


このことを顧みることもなく疑義すら抱かない政治家は、
国家の存在意義が国民の生命と財産を守るにあるという基礎的な知識すら
身に付いていない三百代言というべきやつばらであり
国家溶解を確信犯的に行う亡国の尖兵と呼ぶべき存在だと個人的には思う。


今は、拉致問題を問うべき時期でないという意見を多く聞く。
それらの意見にいちいちに反駁をする気はないし、論破しようとも思わない。
私にとって郵政問題の賛否などは問題ではない。
ただ、この国の未来を託すに値する人物かどうかをこの選挙で問いたい。
今、我々の安全が脅かされているのだ。

*1:真相は不明