第三の波とブログ炎上(2)


(前日の続き)


これらの現象は、
インターネット上、またはそれらを媒体にしてその行為の一部が行われたこと以外
共通点はないが歴史的出来事エポックメイキングな色彩を持っていると私は思う。

それは、ジャーナリスト西村幸祐氏が
「「反日」の構造?中国、韓国、北朝鮮を煽っているのは誰か 」などの著作で
述べている物云わぬサイレントマジョリティーの反撃と指摘した現象であり、
炎上したブログの主宰者である弁護士や旧帝国大の学生が
ネットウヨ、ネラー、コメントスクラム等々と呼び侮蔑しているもの
すなわち「ネット世論」の台頭であり、顕在化である。
言い換えるならば「旧知識人*1に対する新知識人*2の反乱」が始まったのである。



インターネットによるコミュニケーションが発達する以前
「インテリジェンス」*3は、高学歴、或いは一部の業種が独占し
それらは細分化された断片で、特定の分野以外では用をなさないものであった。
しかし、今やPCやPC間をつなぐネット網の飛躍的発達は、
そうしたインテリジェンスを持ち得なかった層(低学歴、低年齢層など)への恩恵となり
社会的地位、身分、年齢など関係なしに
あらゆる人間が、それらを有することを可能に成らしめた。
結果として、一部の人間が独占していた「知識」が万民に解放され
インテリと思われた人間が、必ずしもそうでないことを白日の下にさられることになった。
炎上するブログの持ち主が、記者、学生、弁護士など*4など
高学歴やマスコミ関係者が主に攻撃にされているのも無縁ではないだろう。
これらの者は、この「知的革命」が始まる以前においては、
インテリジェンスを占有する立場の人間で、彼らの主張するところは
いくつかの例外はあったが、その権威によってほぼ無批判に受け入れられていた。
しかし、ネットの発達は、
彼らの述べる主張のうち根拠のない悪意に満ちた論理を
破綻させるのに十分な証拠や論拠を入手可能な状態にならしめ、
その虚構をやすやすと暴くようになった。


それらの事実に気がつかない旧知識人達は、今となっては"はりぼてより価値のない"言葉を、
相も変わらず不特定多数の人間に対して、さも与えてやるかのような尊大な態度で振る舞い
新知識人からの怒りを買いを批判にさらされている。
また、その現状を理解できない、或は認めたくないが故に
ネットウヨク」や「2ch-er」の悪意による「コメントスクラム」などと詭弁を弄して
卑小な自尊心を庇うことしかできていないように思える。




こうしたネット世論の核となっているインテリジェンスと新知識人の誕生は、Web上のことだけではなく
現実世界にも少なくない影響を与えている。
先日、アメリカでCNNの幹部が辞職に追い込まれたのはBlogで批判を浴びたせいだとされている。
日本でも、マスコミ関係者の辞職こそないが、
「集団強盗」をカミングアウトしたタレントが休業になったのも
その情報がネットを中心として広く出回ったからだろう。
彼女と事務所に寄せられたメールや電話の抗議にインターネットが媒体として
どの程度関わっているかは、分からないが
その番組の一部始終をまとめたサイトが一両日のうちに消失している事実は
その影響力の大きさを恐れた事務所なりプロバイダーなりが処置した結果ではないだろうか。*5
しかし、批判したサイトを閉鎖しようともその痕跡は残るし
それらのコピーは無数に増殖して
おそらく、それらの行為に見合った処罰が下るまで、批判の声とともに消えることはない。
また、捏造問題で注目を浴びたNHKの特集番組のプロデューサーや
関係者*6のいかがわしさなどを追求し
北朝鮮の第5列の活動そのものないしは輪郭を明らかにしたのは
諜報やそれらの団体とは本来全くの無関係である市民によってもたらされた。



こうして考えてみると、知識、情報、諜報等の境界が曖昧となるアルビン・トフラーの予言の言葉は
まさしく今現実となりつつあると私は思う。


(以下、明日以降)


*1:高学歴やマスコミ関係者など、生の情報(知識を含む)を扱いながらそれらを他の業種の情報と比較して多面的に思考できない人間の意。tacaQの造語

*2:生の情報は扱わなくても、入手した情報により、物事を多面的に検証し、情報に付加価値を発信する人間の意。tacaQの造語

*3:知識、情報、諜報など全てを統括するという意味

*4:主宰者の公表している情報が正しい場合

*5:今のところ証拠はない

*6:VAWW-NET