小説・ザ・外資

小説 ザ・外資



世の中、右を向いても不況、左を向いても不況。
暗い話題ばかり先行し、
この先、経済はどうなってしまうのだろうかと
脳天気の自分でさえ、不安を覚える。
日本国債の格付けが不当に低いとムーディズなどの格付け会社
クレームを付けたというニュースが何日か前に流れた。


橋本アンパン首相が、金融ビックバンを市場に導入して以来
格付け会社のつけたランクが会社の命運を左右することが多々あった。
格付けの会社の発表したランクによって、株価が下がり
引導を渡された銀行や企業は何社あっただろうか。
しかし、この格付け会社のランクが公正とかいえば、かなり怪しい部分がある。
グローバルスタンダードといえば、聞こえがいいが、
そのグローバルスタンダードという名のもとに
今日本がどれほど、外資と呼ばれる国際資本に食い荒らされ、搾取されているか
高杉良の「ザ・外資」を読むまで全く気がつかなかった。


彼の作品は、実際にあった事実が綿密な取材を重ねて構成されており、
そのリアルで圧倒的な情報量は、
凡庸で無責任な経済評論家などの比でないくらい濃密である。
今回の作品も、日本の経済ーというより、日本国民の税金が
どれぼとアコギに、アメリカを始めとする外資に吸い取られているのか
経済に門外漢の自分ですら容易に理解できる内容となっていた。


銀行を始めとする金融機関のトップの無能さは、目を覆いたくなるばかりだ。
今の金融不況を起こして、日本経済を奈落の底に落とした自覚もなく
また、その責任をとろうともとない恥知らずな面々には怒りを通りすぎて
呆れるばかりだが、
こうした事実が白日の下にさらされ、改善されない限り
我々の稼いだ金は、全て外国資本に吸収され
不況にあえぎ続けなければならない。