日本人チャンピオン

八年ぶりの日本人チャンピオン誕生のかかった
終戦バレンシアGP
衛星中継の映像に気持ちを入れて見る久しぶりのレース
勿論、青山博一の優勝ーチャンピオンを願いを込めて、である。


ポールをとったデボンの欠場で
フロントロー四番手からのスタートとなった最終戦
青山は、ホールショットこそとれなかったものの
チャンピオンシップのライバル・シモンチェリをおさえての
3番手でコーナーに飛び込む。



スタート数周は、バルベラを追う展開だったが
シモンチェリが追いつき、
4、5台で、トップグループを形成し
青山は3番手でしばらくラップを重ねる。
この時点では、シモンチェリが勝ったとしても
青山を上回ることはできず
チャンピオン獲得は時間の問題と思うことができた。
がー
レースも中盤に差し掛かろうとした頃
波乱が訪れる。


ホームストレート後の1コーナーで
ブレーキングミスで、コースアウト
転倒はまぬがれたものの、順位を11位に下げ
チャンピオン獲得に黄色信号がともる。
コースアウトの瞬間、思わず悲鳴が上がった。


順位を一つあげ、走行に支障がないように見えたが
ダートに出た影響が、マシンのラップタイムが伸びず
一方、シモンチェリはトップを走り
万が一青山のマシンにトラブルがでたらと、
気が気がでないもやもやした状況が
しばらく続く展開となった。



しかし、その状況は終盤、一気に変わる。
トップを争っていたシモンチェリが
バルベラのプレッシャーからか
S字でスリップダウン転倒してしまう。
勝つことでしかチャンピオンの目がないシモンチェリが
転倒したため
この瞬間、青山のチャンピオンが確定した。
あまりにも呆気ない訪れだった。


以降は、何台か転倒者が出ても、青山は淡々と周回し
いくつか順位を上げ七位でフィニッシュ。
日本を誤解したようなコスプレのスタッフに囲まれ
チャンピオンTシャツを着て、両手高々とあげて
ビクトリーランを演じた。
もっと派手なアクションになるかと思ったが
チャンピオンセレモニーでは涙もなし。
爽やかな笑顔を見せる青山だった。



圧倒的に強かったわけではないが
勝負所では、持ち前のテクニックとクレバーさで
ライバルを制し、ぎりぎりの戦いを勝ちあがってきた。


チームの突然の撤退からシート喪失の危機から
始まった今年の青山シーズン。
やっと手にしたマシンは開発がとまっていたホンダ製
それでも彼は、圧倒的に早いアプリリア相手に
戦い続け、手にしたチャンピオン



欲を言えば、表彰台で、君が代を聴きたがったが
厳しい戦いを続けた彼の一年を象徴するようでもあり
それもまたよしではないだろうか。



おめでとう青山選手