久々に高杉良の本を読了。
架空の経済産業新聞社を
頂点とするメディア・コングロマリットを舞台に
1980年代からの乱気流に翻弄された日本経済を描いた作品である。
この作品は、一応小説の形をとっているが、リクルート未公開株譲渡
イトマン事件など現実に起きた事件を緻密になぞっており
モデルとなった登場人物や団体が容易に特定可能である。
小説に描かれている新聞社の腐敗と傲慢さが事実なら、
正直、憤りを通り越してあきれるより他はない。
バブルを煽るだけ煽り、国民を踊らせ、反省することなく
社長は社長で会社の接待費で年間3千万円分も愛人の店に使い
記者は記者で、各企業から他紙より優遇されるのを当然と受け止め
情報を出さない広報担当者がいれば、上役にいって交替させたり
紙面を使って恣意的な記事で攻撃するなど
およそ社会の木鐸を旨とするジャーナリストの態度とは
思えない内容が随所にでてくる。
上から下まで狂った新聞社が肩で風を切って歩き、
日本の経済をリードしていたのであれば日本の迷走もさもありなんである。
それにしても責任感や道徳観の喪失した人間や
出世と自己保身しか考えない人間がトップに登りつめる例がなんと多いのだろうか。
この国の未来を思えば暗澹たる気持ちになってくる。
以上、半負け組にしてトップに上り詰めることのない中年の読書感想文である。
- 作者: 大塚将司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/26
- メディア: 単行本
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