歴史の「いのち」


自己を知らない、自己を知るすべを知らないことほど悲劇はありません。ところが、この悲劇が現在の子供たちのあいだに生じています。こうした自己喪失の現状こそ、わが国が内に抱える最大の教育問題だと思うのです。
この傾向は子供の世界だけではありません。私たち大人も歴史に根差す豊かな自分が見えなくなっているようです。国際社会から「あたなは何者ですか」と問われて、たちどろこに日本人としての自分を豊かに語れる大人がどれほどいるでしょうか。
歴史を学ぶゆえんは、ここにあます。「未見の我」に出会うべく豊饒な歴史の海原に船出しようではありませんか。
占部賢志

自分がこの本を知ったのは偶然だった。
数年前、ネットで与謝野晶子のことを調べているうちに、
興味深いいくつかの物語を納めたサイトに遭遇した。
そのページは、JHCで行われた講義を文章化したものであり、
その講義をしたのがこの本の作者である占部氏だった。
現在、ページは削除されているが、Googleキャッシュにはまだ残っているようだ。


この本には、ポーランドの孤児を救った大正日本の人々や
400年前に千葉の御宿で行われた人命救助に感謝するために同地を訪れメキシコの大統領
壊滅寸前のドイツ科学界を救った日本人の業績など
歴史に埋もれた我々が知らない多くの出来事が紹介されている。
ポーランド孤児を救った話はフラッシュ化の他に去年ドラマ化されているので
知っている人も多いのではないかと思う。
(参照 http://hamaniyo.jp/~taz/flash/polandNewVer.swf


平成7年の阪神淡路大地震の際、ポーランドは直ちに救援活動を起こし
その一環として被災児をポーランドに招いた。
その頃、大正時代に救出された方が今も数名健在であり、
震災で痛手を受けた日本の子供が来るならばと老体をおして地方からワルシャワまて出向き
薔薇の花を一輪ずつ贈って懇ろに励ましたという。

ポーランド国民もまた高尚な国民であるがゆえに、われわれはいつまでも恩を忘れない国民でることを日本人に告げたい。
ここに、ポーランド国民は日本に対し、最も深い尊敬、最も深い威恩、最も温かき友情、愛情をもっていることをお伝えしたい。


何も昔の日本人は偉かった云々と尊大な物言いをする気はないが
我々に好意が寄せられるとするならば、その源が何なのか、
それを知っおくことに損はないと思う。