ロー人の物語〜カエサル〜ルビコン以前


ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)
塩野七生の「ロー人の物語〜カエサルルビコン以前」を読み終えた。
今回配本された3冊は、カエサルの青年期から
壮年期・ガリア征服直後までを著したもので
「渡らなければ身の破滅、渡れば人間界の悲惨、賽は投げられた」と宣言し
カエサルルビコン川を渡る場面で章が締められていた。
次の展開が非常に気になる終わり方で締めた塩野七生の巧さに思わず唸りつつ
沢木耕太郎が何かに書いたエッセイを思い出した。


賽の訳がDieであることに戸惑う類の話で
ラテン語は知らないけれども、英語でDie=死ぬということであるから
賽と言う言葉に使ったカエサルの心中に
死を連想するネガティブな思考があったのではないかと
一つ二つの単語に妙な思い入れをするスカッと爽やか清涼飲料水の
沢木らしいといえばらしい文章が、である。


自分とローマ世界の運命を賭けて賽を振るのであれば
死の一つや二つは当然付い手くるものであろうし、
寧ろDieという名称こそ、世界を賭けて振る賽にふさわしいと考えてしまうのは
きっと、自分が爽やかな清涼飲料にはほど遠い存在なのかも知れない。


それにしても続きを早く読みたいものである。