椿山課長の七日間


椿山課長の七日間

作家の浅田次郎によると
死後の世界(中陰)は、交通免許センターみたいなところだそうだ。
生前に犯した罪によっては、講習を受けることでハンコもらい
反省すればたちどころに許されて極楽往生に行ける。

ただしそれには条件があって生前に執着をもたないこと。
間違っても生き返って、自分の人生を冷静に点検などして
自分の人生が嘘の積み重ねであったことがバレた日には
極楽どころの話ではなくなるからだ。

しかし、世の中には極楽往生よりも
男の筋を通すことが大事な人間もいたりする。
主人公・椿山課長の父も戦前の生まれらしく
そうした筋を通さずにはいられない人間である。

「筋を通さず往生したところで天上の蓮の台は針の筵
 筋を通して落ちるなら地獄が男の極楽」とは
生き返った挙げ句、殺した相手を殺してしまったヤクザの口上なのだが
そうした口上通りのような生き方しかできない
老人の不器用で硬骨な生き様は分かっていても涙を誘う。

自分は、1人で生きているのではなく生かされていることに気がついたとき
人は限りない優しさをもてる。


老人が若者を振り回す元気があるのはいいことかなと
少々場違いな感想をもつ今日この頃である。