イラク戦争3周年

航空自衛隊パイロット佐藤守氏のブログ経由で
東京財団刊行の「日本人の力」3月号に
帝京大学高山政之氏の以下の文章が載せられているのを知った。
http://www.tkfd.or.jp/publication/reserch/chikara.shtml

この戦争ならまずサダム。反米のアラブ民族主義者。世界第二位の石油埋蔵量を背景に強大な軍事力を持つ。もう二度も戦争を起こした行動派だ。石油埋蔵量一位のサウジアラビア親米派ファハド国王は当時死の床にあり、アブドラ新王が遠からず誕生する。新王はサダムと親しいアラブ民族派パレスチナにも同情的だ。そのパレスチナでは超強硬派のハマスが勢力を伸ばし、この一月の選挙では第一党になった。対するイスラエルでもユダヤ原理主義集団ハシュディムが国民の二〇%を超えつつある。彼らはパレスチナとの妥協を一切排除し、九五年には共存を図ったラビン首相を暗殺もしている。


もしサダムをあの時点で排除しなければ、ファハドの死後(〇五年五月死去)石油埋蔵量一位のサウジと同一位のイラクは確実に手を握る。シリアのアサド大統領も、米国と反目するイランもその輪に加わるだろう。イランは石油埋蔵量世界第四位。ということは空前の規模で石油と軍事力が結びついたアラブ・イラン連合が現実のものになる。これを背景にパレスチナではハマスとハシュディムが歯止めの利かない衝突を始める。つまりかなり高い確率で中東戦争が勃発し、同時に第二の石油ショックが出来(しゅったい)することになる。


その要のサダム・フセインを排除出来ればこの悪夢は起きないか起きてももっと緩慢なペースで対処できると読んだ、ということだ。そして事実もそう推移している。大量破壊兵器の有無など本当は何の意味もなかったわけだ



ようはイラク戦争は、大量核兵器を口実にして反米アラブ勢力が結集することを
防ぐためにアメリカが仕掛けた戦争だというのだ。
自分は正直言って、大量破壊兵器云々は口実だろうと思っていたし、
単純にテロ組織撲滅が狙いでもないだろうと考えていた。
だから、真贋さだかならないこの説を聞いてもああなるほどな、としか感じない。


世界は欺瞞と嘘に満ちている。
だから、もう少しの間、力を持つことが必要なのだと思う。




ブッシュの戦争

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