ホット・スクランブル

ホット・スクランブル―緊急発進



小松基地第6航空団306飛行隊に所属する
主人公辰巳彰1等空尉は
航空自衛隊主力戦闘機F-15を駆るイーグルドライバーで
鼻っ柱が強いパイロット連中の中でも相当やんちゃな部類に入る。
素行にやや問題があるもののパイロットとしての腕前は
一目置かれており、
航空自衛隊が極秘に開発したホットスクランブルという
飛行シュミレーターのテストパイロットとして選ばれ、
通常の訓練や任務に加えて、人知れず激しい訓練に励んでいた。


そんな矢先、結婚を控えた彼の妹が何者かに連れ去られ
両親が惨殺されるという事件がおきる。
そして彼がホットスクランブルで訓練をしていると
突如として30年後の尖閣諸島上空にタイムスリップし
中国機と交戦状態に陥る。
リアルなシュミレーターがもたらした仮想現実なのか
それとも・・・




主人公が飛行シュミレーションによる訓練を開始すると
30年後の尖閣にタイムスリップしてしまうSFミスりテー仕立ての
ミリタリー・ノベルだが物足りなさを感じた。
空中戦における航空機の機動や地上管制官との会話などは
リアルで非常にスリリングな描写であったが、
妹が失踪した謎解きや尖閣を巡った日中の戦争など
設定にお手軽さ、お気楽さが目立った。


ただ航空機に関する記述は、
実際に作者が航空自衛隊に赴き取材を重ねただけあって
日本のミリタリーノベルの中では
出色の出来といっていいと思う。




以上、ミリタリーマニアの読書感想文である。