宮城谷昌光は「沈黙の王」において、言葉を喋れなかった商の王武丁が
永久の残る言葉、即ち文字を創作するに至った過程を描いた。
四大文明*1が古代の代表たる文明とされている理由の一つは
文字が存在したか否かにあるのではないだろうか。
文字を生み出した文明=偉大な文明、というわけではないが
文字を持つということは記録を後世に残すという点でそれを持たない文明より
有利であるからだ。
もし古代の中国に文字が生まれなかったら日本はどんな歴史を歩んだだろうか、
おそらく相当違ったものになっただろう。
いわば漢字は、日本の歴史の一部であり
切っても切り離せない日本人の精神的な故郷の一つであると個人的には思う。
そうした長年にわたり築きあげられた日本の文化の核ともいうべき漢字を
己の低脳さを棚にあげて、難読だという理由で破壊を指示したGHQ、
愚策を改めるどころか、国際化に適応した人間を育てるという名目で
国語の時間を減らして小学生から英語教育を施そうという者は
忌むべき売国奴、若しくは日本人の魂を失った輩と称すべきだろう、
文化破壊者と云ってもいい。
さて、数週間前に産経新聞の記事で「書の至宝」なる展覧会が国立博物館で
開催されていることを知ったので、先日上野まで足を運んだ。
意気込んで行ったまでいいが、会場に着いてはたと思いだしたことがあった。
実はtacaQ、書の善し悪しが全くわかないーというか読めない。
したがって、目のに前に陳列されている王義之の文字が
どれほど凄いのかさっばり不明だった。
言うなれば、野球のルールを知らないのにMLBの試合を見に行った
女子高生のような状態に陥ってしまった。
おのれGHQ、この恨みいつか晴らしてやると思いつつ
やっぱり人間一生勉強だなとトンチンカンな感想を抱き
帰りにジュンク堂で白川静博士の常用字解を購入した。
(関連URL)http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=2391
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*1:この言い回しが正しいかどうかは不明