楽しむということ


ウィンタースポーツ競技者をバックアップしている北野建設の社長のコメントが
何日か前の新聞にのっていた。
詳細は覚えていないが、"個人が楽しむためでなく国の名誉のために戦え"といった内容の
記事が載せられていたと思う。


女子フィギアスケートで金メダルを獲った荒川選手は
表彰式後のインタビューで「楽しめればいいと思っていたので…」
という類のことをのべていた。
同選手に限らず、今回日本代表選手のインタビューを聞くと
「勝つことより楽しむ」としたコメントを聞くことが多い。
それは単に勝てなかったことの照れ隠しなのか、それとも語彙が貧困なのか
国の名誉のために勝つというより、楽しむことにスポーツの意義があるという意見を
引き出したいメディアの恣意的な報道のせいかどうかは知らないが
とにかく「勝ちたい」あるいは「勝つ」と述べた選手が殆どいなかった。


「sport」は「気晴らし」や「楽しみ」「遊ぶ」などを意味する「disport」が
変化した言葉であるから、スポーツを楽しむことに異をとなえるわけでないが
世界最高のアスリートが、国や個人の名誉を賭けて競技する場で
「楽しむ」というコメントは、どこか場違い的なものを感じる。


"本気で楽しめるのは勝とうとする人間だけ"というとあるマンガの台詞が響く。


おおきく振りかぶって (1)

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