本物を知らない不幸


関東に帰ってきて、関東の人間が不幸だなと思うのは
本当に美味しいものを知らないことである。
勿論tacaQグルメを気取るわけではない。
そもそもグルメという言葉が私は嫌いで
元々は質素を旨とする人間なので、食事を美味い不味い云々するのは好きでない。
しかし、偽物や不味いものを最高などと云って食卓に供されると
思い切りこき下ろしてしまうことがある。


職場の忘年会を貸で温泉に浸かりに行ってきた帰り
茨城の那珂湊の市場で回転寿司屋に入った。
ネタはそれなりに新鮮なのだが
ネタが大きく、完全にシャリよりはみ出している。
寿司というのは、適度な大きさというのがあって
口の中でパッとほどけて一口で食べられるサイズがベストだと
個人的に思っているので
正直この巨大サイズには眉をしかめた
食べてみると案の定、口の中で必要以上に咀嚼せねばならず
味云々する以前の代物だった。


たかだか回転寿司に目くじらを立てるのも大人げないかも知れないが
青森にいた時は、回転寿司屋といえどこれほど不味い寿司屋に出会ったことはない。
ネタの良い悪いの話ではない。
新鮮なネタをこれほど不味く食べさせるのは関東地方だけである。
こんなものが寿司として認識されるようになってしまえば
ワサビのかわりにピーナツバターを塗るアメリカ人を笑うどころの話ではない。


こんな不味い物を作るやつは、漁師や農家に謝れ。
と出来の悪いホタテに味を付けてごまかした乾物をかじりながら思う。