鉄道員


http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20050507/K2005050601730.html
4日の夜、球撞きの合間に「から揚げ人生」で鳥を食べていると
フルタチが「社員ボーリング」の件でJR西日本を糾弾していた。
確かに、事故直後、休暇中とはいえレクレーションを開いた行為について
軽率の謗りはまぬがれないが、マスコミがそろって非難するようなことなのか。
それもフルタチのようにキチガイじみた口調で、である


JR西日本の危機意識の薄い体質や業務方針が、
事故の遠因になったといえばそれまでのことであるが
針小棒大に報道するマスコミの態度を見ていると非常に腹立たしい。
事故直後、被害者家族の悲痛な面持ちのところへマイクを突きつけたり
救助活動の邪魔になっているシーンを見ていると
事故を起こしたJR西日本よりマスコミ各社に憤りを覚える。


そのマスコミは、事故発生当初ダイヤを守ろうとした運転士にスポットを当て
至芸ともいえるダイヤグラムを目の敵にしていた感があったが
その過密ダイヤこそが鉄道の安全を支えてきたのではないだろうか。
かくいう自分も、4月30日「酔夢ingVoice」(西村幸祐氏)のエントリーを
読むまでこの視点にまったく気がつかなかった。不明を恥じたい。

最近はいい社説を書いている読売新聞までもが、29日の社説で
「尼崎脱線事故 ダイヤ優先主義が惨事を招いた」と書いていたので少々失望した。
今回の事故には複合的な原因があると述べながら、
「事故の背景には、JR西日本のダイヤ優先主義があったのではないか」
と断罪していたからだ。原因がはっきり判別しない時点で、
ダイヤ優先主義に最大の原因があるような書き方は、
日本の特性を否定することにならないのだろか?

西村氏の述べるとおりJRを含めた日本の鉄道の正確さというのは世界に類をみない。
三戸祐子の「定刻発車」を読めば、日本の鉄道マンが、
ダイヤを守るためにどれほど腐心してきたかを伺いしることができる。
1本の臨時列車を走らせれば、37本の列車に影響があるといわれるほど
緻密に組まれたダイヤグラム
年々増加する乗降客に対応するためダイヤ改正の度に列車を増発させ
なおかつ、突発的な事故に対応できるようダイヤを組みかえを行い
わずか2つの発着線で一日二百本以上の新幹線を発着させるために
日本の鉄道マンはどれほどの努力をはらってきたか。


欧米各国の鉄道各社が15分や10分以内は遅れではないと規定しているのに対して
1分以上を遅れと定義し、それでいて欧米より高い定時発車率誇るJR
分はおかろ秒単位で列車の発着をコントロールする日本鉄道の組織力
研修にきた諸外国の鉄道関係者が、一様に驚嘆の声を上げるが
それを支えてきたのは無名の鉄道員達である。
10cm停車位置がずれただけで悔しがる運転士や
東京ー新大阪間を15秒以内、1cm以内の狂いで発着させる運転士
まさに至芸ともよびべき鍛えぬかれた匠の技がJRを支え
浅田次郎の小説「鉄道員」に象徴されるひたむきで献身的な鉄道員たちが
驚異ともいえる鉄道運行を可能にならしめたのだ。
人身事故や自然災害と戦い、1秒の狂いもなく走らせることを誇りとした男たちが
日本の鉄道を走らせてきた。


今回の大事故は、多くの鉄道員が長年培ってきた努力を
水泡に帰してしまった感があるが
今までそれを支えてきた献身的な鉄道員を傷つけるような言動は
あきらかに行き過ぎである。


※ 参考URL
あんた何様日記「 弱者を食い物にする馬鹿が多過ぎる。 」
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2005042701004338
http://www.sponichi.co.jp/osaka/soci/200505/06/soci180093.html

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)

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