南十字星

ブンガワン ソロ 
果てしなき 清き流れに 
今日も祈らん 
ブンガワン ソロ 
夢多き 幸の日たたえ 
共に歌わん 
聖なる河よ 我が心の母 
祈りの歌のせ 流れ絶えず 
花は咲き 花は散れど 
愛の誓いは 永遠に変わらじ 



「ブンガワン・ソロ」(作詞・松田トシ/編曲・宮川彬良 1948年) 


劇団四季の「李香蘭」「異国の丘」に続く昭和三部作第三部南十字星」を観てきた
BC級裁判で処刑された保科勲をという架空の人物を主人公にした物語である。
戦争を回避し得なかった当時の国家指導者達は
その責を問われてもやむを得ざるものがあるが
大陸で、南方で、太平洋で必死で戦った兵士達が処罰される謂われはない。
にも、関わらず多くの日本兵が、連合国の復讐心を満たすために処刑された。
正当な手続きや審理など全く無視した裁判によってである。


未だというより、戦争を知らなくなってしまった日本人は
戦争で人を殺したから処刑されても当たり前だと云うかも知れないが
それは大きな間違いである。
戦争に対する罪がこれ以前に問われたこともないし、
そんな法律はこの時期地球上の何処にも存在していなかった。


窮地に陥った局面を打開するために戦争を決意したことを愚行というのならば
復讐心のみで敗戦国の人間を裁き処刑したのは、それ以上の蛮行ではないか。
そうした蛮行の果てに処刑場の露と消えた英霊達は
祖国日本に何を思い、何を願っただろうか。


戦争の実相を知らない自分がいうのも僭越かも知れないが
彼の霊に報い唯一の方法は、蛮行の非を声高にあげつらうことでなく
愚行、愚行と反省し自己批判を繰り返すことでもなく
祖国発展のために、何かを為すべきことだと思う。