ヨーロッパでフットボールと言えばサッカーを意味し、日本でもほぼ同様であるが
tacaQにとってフットボールとは、アメリカンフットボールを意味する。


彩玉にきて、久しぶりアメリカンフットボールマガジン(AFM)を購入した。
tacaQが現役でプレーしていた10年ほど前は、月刊だったが
いつの間にかNFLのシーズン前とスパーボウル直前と終了後の不定期刊行となっていた。
同じフットボール雑誌のタッチダウンがpro(NFL)とオリジナル(Xリーグ日本大学リーグ)に
分けて毎月刊行し記事の内容が拡散しているのと好対照に
不定期刊行のAFMのクォリテイーは高い。(値段も高いが・・・)


AFMの記事の中に、先頃行われたモーリス・クラレットの裁判について述べたコラムがあった。
記事の要旨は、高校卒業後三年を立たないとプロであるNFLと契約できない今のシステムを
支持した裁判の結果はおかしいというものである。
これには、色々と意見があるだろうが、基本的にはNFLのポリシーが正しいし
高校卒業後2年でNFLとの契約を望んだクラレットが敗訴したのは妥当だと思う。


高卒で体のできていない選手が、プロでプレーした場合ほぼ100%の確率でケガをするので
それらを予防する意味もあるが
二軍を持たないNFLは、カレッジフットボールを新人選手の供給源及び育成機関として
位置づけているため、高校卒業から三年を経過していない選手とはNFLは契約を結ばない。
もし、カレッジの経験なしでNFL入りする選手が増えれば
必然的にカレッジのレベルはダウンし、結果としてNFLの質も落ちるだろう。
そうすればね他のプロスポーツに対しての優位な位置を失う羽目に陥りかねない。
カレッジリーグの繁栄及びクォリティーの維持は、NFLにとっても他人事ではないのだ。


NFLは、ある特定の人気球団だけ儲かればいいという考え方でなく
各チームが拮抗した実力でチャンピオンシップを狙うことを目的に
FA制度やサラリーキャップ(選手年俸総額制限)、ウェバー制度によるドラフトなど
数々のシステムが導入されている。
つまり、リーグ全体で利益を上げて、各チームに分配しようというのが基本的な考え方であり、
カレッジリーグなどの他のフットボールリーグとの共存共栄を図っている。
また社会に対するモラルやファンを大切する姿勢も徹底しており
今年のスーパーボウルであったジャネットジャクソンの露出事件では
コミッショナーが迅速に謝罪し対応措置を発表したのは、その精神の発露であろう。



日本のJリーグ川淵キャプテン(当時はチェアマン)が、
発足にあたりNFLを参考にしたのも頷ける話である。
合併話でファンや選手不在で迷走しているどこかの国のプロスポーツ組織とは
くらべようもないくらい洗練されているのがNFLではないかと思う。