北朝鮮

けれどもこんなにたくさんの日本人が、しかも日本の私たちが一生懸命に育てた、
日本のために何とか役立つようになってほしいと育ててきた子供たちが、
何も悪いことをしていないのに、大根を引き抜くように袋に入れられて
あちらの国に連れていかれて・・・


横田早紀江「電脳補完録」

神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世が、教皇グレゴリウス7世に謝罪するために
雪の中で3日間裸足で立ちつくし、哀願したという事件は、カノッサ屈辱と呼ぶが
今回の小泉首相の訪日を「平壌の屈辱」と表現したジャーナリストがいた。


自分が行かなければ、5人の帰国はなかったと発言しているが
平壌で一方的に要求だけ呑まされ、一時間半ばかりで取り付くしまもなく
会談をうち切られたことを考えれば、
この表現は、言い得て妙だと思う。


首相の訪朝に際しては、以前から救う会は懸念を表明しており
訪朝後のブリーフィングで家族から怒号が発せられたり
各地で首相の訪朝を批判する声明を出したことで
「首相に対してねぎらいがない」「無礼だ」という批判の声が
家族会に多数が寄せられれた。

先の馬鹿3人組の家族に対しては嫌がらせで、拉致被害者に批判と報道する
マスメディアの報道基準の曖昧さに対しても憤りを覚えるが
家族会は首相にねぎらいと感謝の言葉を伝えた事実を報道しなかったことに
言いようのない嫌悪感を覚える。


保守派でも今回の首相の訪朝を支持する方は多いようだが
私は、25万トンの米や人道支援などの貢ぎ物をもっておこなわれた今回の成果は
土下座外交以下にしか見えない。
奴隷の平和を選ばないと偉そうなことをいったのは何処の誰か。
奴隷でなければ、虫けらか?


小泉首相は好悪の感情がはっきりし、その心情は真っ直ぐで性根は悪くないが
パフォーマンスばかりの口先だけの人物で一国の首相として行動が軽過ぎる
というのが首相就任以来の変わらぬ私の評価であり、
今回の訪朝もその評価を覆すに至っていない。

私の評価などとるに足らない些細なことであることは重々承知しているが
大量破壊兵器の証拠をアメリカから見せてもらったと言っては
米国のイラク攻撃を簡単に支持したり
品性下劣の田中真紀子を外相に起用したことなど
その失敗が決して小さいものではいことを考えれば
あながち的はずれなものではないと自負する。

加えていうならば、自衛隊イラク派遣というカードを切ったにも関わらず
ジェンキンズ氏の身柄保証を米国から取り付けられないのは
首相の言葉と存在に重みがないからではないだろうか。

首相は、行方不明の10人の再調査は国交正常化交渉の中でと発言しているが
5人の帰国が叶った一事をもって、国交正常化再開を打ち出し
事件の幕引きを狙っているだとしたら
それは拉致被害者家族の心情を踏みにじる行為で
これこそ、軽率以外の何物でもないだろう。

こんなに長い間、まだ子供たちは北朝鮮で日本の助けを待って、泣き続けなくてはならないのでしょうか。

この言葉を聞いた時、自らの外交成果を自画自賛
経済制裁を発動しないと宣っている首相を評価できるわけがない。


こうした稚拙な意見に批判や好悪があるだろうが、それでも書かずにはいられない。
私は批判を怖れない、この事件を風化し、同胞が泣く結果のみを怖れる。