サビーヌの木


ラリーのコース途上モーリタニア砂漠の近くに
ティエリー・サビーヌの木と呼ばれる小さな丘にある木を存知だろうか。
このラリーの創設者の名前にちなんで名付けられたものだ。
彼は86年の大会最中に砂嵐に巻き込まれ不慮の死を遂げた。
その事故の翌年、開催を危ぶむ声もあったが、
ティエリーの父はジルベールは「息子の弔い合戦」と呼んでこのラリーを開催した。
彼は大会期間中、ステージがこの区間にさしかかると
息子の名前が付けられた木のある丘で一晩過ごした。
老いた父は、若く逝った息子と一晩何を語ったのだろうか。


「冒険を愛するなら、その扉まで案内しよう。だが扉を開くのは君たちだ。」
とはアフリカの大地とモータースポーツ
愛してやまなかった亡きティエリーの言葉である。
彼の魂魄は、冒険者のある限り共ににアフリカの大地を疾走し続けるだろう。
今年のパリダカールラリーは、増岡がトップを快走している。
篠塚健次郎以来の二人目の日本人ウイナーの可能性が高くなってきた。