津軽と刑事と酒

「刑事さんの苦労に感動し、造りたいから造った。それだけなんです」。東北人らしく、彼女の口数は多くない。酒に同封された手紙が率直な思いを語っている。


《…事件は解決し平和な町で安心して眠れる今日。刑事さんに感謝をこめて。ありがとうございました》


取り調べ可視化に象徴されるように刑事たちの捜査環境は厳しくなる一方で、ともすれば元気を失っている刑事部屋もあろう。そんな彼らに、津軽の女性蔵元の思いが届いてほしいと思う。


土居さんが感じ取った刑事のイメージを反映してか、「刑事」はべたべたせず、辛口だ。もし仕事に迷っている刑事がいたら、この辛口の「刑事」を飲んでしゃきっとしてほしい。その辛口味からは、お神酒にこだわり続けるプロからの「刑事は強く、優しく、黙々と犯人を捕まえよ」というメッセージが口中に広がってくる。(いぐち ふみひこ)

http://sankei.jp.msn.com/life/news/111127/trd11112703180000-n1.htm

産経の土日に掲載される井口文彦のコラム
特に刑事関係の記事は秀逸なものが多い。
刑事や検察の横暴や不正ばかり話題になりがちな昨今の風潮に
抗うかのように働く刑事達の汗と涙を力強く綴っている。


警察官僚の不正や汚職の報道が多くなり
またネズミ捕りと呼ばれる交通取締の影響で
警察に寄せられていた信頼は過去のものと比べるべくもないが
それでも現場の刑事達は足を止めず、地道に働き続ける。
そんなスポットライトから遠くにいる男達の喜怒哀楽の挿話に
涙腺がしばしば緩む。


知り合いに刑事がいれば、とりよせて贈りたいものだが
あいにく一人もいない。
この文章が刑事関係者の目に止まるかどうかも定かでない。
それでもすべての刑事に心より感謝の言葉を捧げたい。

「ありがとう。」