ピート・キャロルへの手紙


父ブライアンは息子ジェイクに残酷な知らせを
告げなければならなかった。
網膜芽細胞腫
その病気は、息子の残った右目を
奪うことを意味した。


すでに息子は生後10ヶ月で左目を
網膜芽細胞腫』で摘出していた。
ジェイクは、わずか12歳で両目から光を
失うのだ。


愛する息子に、
フットボールが好きで
将来、南カリフォルニア大学(USC)で
プレイすることを
夢見ている息子に、
「右眼を手術で取らなければならない」
とブライアンは告げた。


妻シンディは、自分自身をせめた。
「私が悪いんだ、私のせいだ」と。
夫は、妻にやさしく言った。
「誰も悪くはない、ジェイクも、母である君も、
誰も悪くない」
誰かのせいにできれば
いくらかは気持ちが軽くなるかもしれない。
しかし、それでジェイクの目が治る訳ではない、
大切なことは、人生を続けていくことだ。
息子の人生に希望を灯をともすことが
何よりも必要だ。


全てを聞き終えたあと、ジェイクは言った
「最後に、USCトロージャンズの練習を見たい」

めぐみを助けて



【iRONNA発】拉致問題 解決を「トランプ任せ」にしていいのか 荒木和博(3/4ページ) - 産経ニュース
【iRONNA発】
拉致問題 解決を「トランプ任せ」にしていいのか 荒木和博

 本来、トランプ大統領拉致被害者家族を会わせるというのは恥ずかしいことだ。「拉致被害者の救出は日本がやります。米国も協力してください」と言うべきである。


東京メトロ新宿駅構内で
北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんの写真展が
開かれていた。


家族旅行や中学校入学を記念した写真が
二十点前後、壁に展示されていた。
何事もなければ、これらの写真は
横田さん家族だけで共有されていただろう。


だが、これらの写真は、
彼女の両親のメッセージを附して
公開されている。


「めぐみをかえして」


四十年以上の時間を越えて
待ち続ける被害者家族の
切なる願いが、なぜ実現できないのか。
人として、親として、ごく当たり前の
願いでしかない。


いったい、この願いを阻むものは何なのか。
無力のかいなといえども
こぶしを固めずにはいられない。

新リーグ

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171019-00000058-jij-spo

20年度以降の新リーグ検討=地域密着型の運営へ―ラグビー

日本ラグビー協会が、ワールドカップ(W杯)日本大会が開催される2019年の翌年に当たる20年度以降のトップリーグについて、各チームが地域に根ざして本拠地スタジアムを持つ形の新リーグに衣替えするプランを検討していることが19日、明らかになった。

 日本協会は、チームがチケット販売などで独立採算が取れる仕組みも考えているという。関係者は「新リーグへの移行が決まっているわけではないが、以前から検討している」と話した。

 トップリーグは03年にスタート。実質的には実業団リーグとして運営してきたが、観客数が伸び悩んでいる。リーグの試合形式もW杯などの日程に伴ってたびたび変更し、ファンへの配慮に欠けるとの指摘もある。


地域密着型とは、聞こえはいいが、
東京以外でハコが用意できるのか、
少し疑問である。


ラグビー専用競技場といえば
関東なら熊谷がまっ先に思い浮かぶが
アクセスに難があるし、
集客は簡単ではない。


このご時世、簡単にハコを
作ってくれる自治体など
あろうはずもなく
一体どうするつもりなのだろう。


ハコ以外にも問題も山積みであるが、
とりあえずは、話題になる仕掛けを
つくらないと、と思う。

風に立つライオン


シンガーソングライターさだまさしの小説で
アフリカ、震災後の石巻を主な舞台とした
命を紡ぐ壮大な物語。


さだは、長年、アフリカで医療活動を行ってきた
医師柴田紘一郎氏をモチーフに
楽曲「風に立つライオン」を1988年に発表していたが
大沢かたおから同曲の映像化のための原作小説を
依頼され、本作を書きおろした、


長崎の大学からアフリカに
派遣された医師・島田航一郎は
多くの患者を診察するが、
ある日傷ついた少年兵・ンドゥングと出会う。
家族を殺され、自身を掠われ、麻薬を打たれ、
銃を持たされ、弾よけにされるという
短い半生に比して過酷で
重すぎる体験を持つンドゥングは
心を閉ざしていたが、
やがて航一郎に心を開き
殺めた人間以上の数の人を
救うという志を抱くようになる。


不遇な環境に負けないように
自分を鼓舞するために
「がんばれ」と叫ぶシーンが
作中にたびたび挿入されているのだが
その言葉に込められている多くの思いが、
心の奥底まて突き刺さった。


彼は小説「精霊流し」の発表以降、
心に響く多くの物語を紡いでいる。
本作は過去の作品以上に魂が揺さぶられた。
フィクションが交えられているとは分かっていても
涙をおさえることができなかった。


「作家」さだまさしの本領発揮の作品である。

陽だまりの彼女


陽だまりの彼女 (新潮文庫)

陽だまりの彼女 (新潮文庫)


中学校の時に虐められていた女の子を
庇ったことから
クラスで浮いた存在となった主人公。
鉄道好きでなんとなく鉄道に
関係する広告代理店に就職し
クライアントに赴くと
中学三年で転校して以来会っていなかった
彼女と出会う。
"偶然"の再会を機に二人が通わせるのだが
彼女には人知れない秘密があった。


ハッピーエンドというには
どこかしっくりこないオチではあるが
十分にほっこりしてしまうので
やはりハッピーエンドなのだろう。
西島大介のカバーイラストと合わせ技で一本。

天切り松闇がたり ライムライト

ライムライト 【limelight】

1 石灰片を酸水素炎で熱して強い白色光を出す装置。一九世紀後半,西欧の劇場で舞台照明に使われた。
2 名声。評判。

この小説を読むまで
ライムライトが照明装置であることを
知らなかった。


さて、浅田次郎の「天切り松闇がたり」シリーズ第五作
あちこちの留置所に出入りしては自身の思い出噺を
吹きまくる稀代の盗人の語りが
軍人が幅を利かせなにやら時代が
きな臭くなってきた昭和の世相を背景に
冴えまくる。


義理を通し、人情を忘れない義賊など
講談の中でしか存在しないと
誰もが承知しているが、
権力に媚びず、それぞれの筋を通す生き方は
生活に倦んだ人間にとって
目映く写り、つい喝采を送りたくなってしまう。


表題作のライムライトは、
チャップリンの代表作と掛けて
彼との盗人らのあり得ない邂逅を綴った話であり
ひさびさに、彼らしい作品にまとまっていたと思う。