近江聖人

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120318/art12031803070002-n1.htm

その親孝行とともによく知られていたのが、内村鑑三の『代表的日本人』に紹介された弟子、熊沢蕃山との出会いの物語である。蕃山がさる旅館に宿泊していると、隣室の旅人の話が聞こえてくる。近江のさる村でのできごとだという。


主君から預かった数百両の入った袋を雇った馬の鞍(くら)に結びつけたまま馬と馬子を帰してしまった。宿に着いて思い出すが、馬子の行方はわからない。もはや切腹するしかないと覚悟したところへ、馬子が訪ねてくる。4里の道を歩いて金を返しにきたという。謝礼も受け取らない男に「なぜそんなに正直なのか」と問うと、こんな答えが返ってきた。


「私の村に中江藤樹という先生がいて、教えてくれるんです。人生の目的は金ではない。正直であり、正義であると」。蕃山はその言葉に感激し、そのまま藤樹のもとへ弟子入りを志願しにいく。


戦後忘れ去られたようなこの話が育鵬社から出版された『13歳からの道徳教科書』で「復活」した。「馬子の正直」という。


40の齢をすぎると昔ほど頭がはたらかなくなってきていることを
実感する場面によく遭遇する。
元々そんなに回転している頭でもないので
日常生活でもさしたる支障があるわけではないが
何らかの案件を処理する際に
目的とか趣旨とかをよく考えるようになった。
案件だけでく、
人生におけるその意味とかを茫洋としながら
思案することも多くなった。


振り返れば、人に言えるほど正直に生きてきたわけでない
ただ。それでも能うるかぎりまっすぐに
生きていければと願う。