甘い水


松本剛の漫画「甘い水」は北海道の地方都市を
舞台にした高校生の純愛物語である。

好きになった高校の同級生同士が、
お互いに好意を抱き、幼い愛情を通わせ、
距離を詰めようとするのだが、
二人の恋は実ることはなかった。


それは、少女には人には言えない秘密ー
親に売春させられていたという事実があったからだった。


残酷で汚い現実に立ち向かう
登場人物の純粋な心持ちと若い真っ直ぐな感情が
苦さと切なさ以上の読後感を残した作品だった。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110920-OYT1T00719.htm

少女は、小学6年の頃から実母に命じられて売春をし、そのほとんどを実母に渡していた。覚醒剤も実母に勧められて始めた。道警捜査員は「あまりにひどい家庭環境」と虐待ともいえる生活実態に言葉を失う。


物語ではない現実の酷薄さを歎きつつ、
少女の精神を救う言葉すら
見出だすことのできない己の無力をただ憾む

甘い水 上 (講談社BOX)

甘い水 上 (講談社BOX)

甘い水 下 (講談社BOX)

甘い水 下 (講談社BOX)