近未来の日本で、
ネットやサイバー犯罪にあたるため結成された公安9課。
かつて「少佐」と呼ばれる草薙素子が、
課のエースであり現場の最高責任者であったが
素子が「2501」と呼ばれる電脳界きってのユニークなハッカーと
関わってネットの世界に拡散して消えた前作の設定を受けて
物語が始まる。
国内で販売使用されている家庭用サイボーグが
突然暴走し人間を殺害するという事件が連続して発生し、
テロや犯罪の匂いを嗅いだ公安9課が捜査に乗り出す。
素子の部下して相棒であったバトーが
事件に影にある犯罪をあぶり出すが……。
士郎正宗原作の「攻殻機動隊」を
アニメによって映像化した押井守の作品である。
ネット世界の到来を予期した原作者の慧眼もさることながら
この作品が世に知られるようになったのは
押井守の力が大きいような気がする。
もともと著名な古典や歴史書の言葉を多数引用し、
物語の根幹をなす独特の世界観を呈示するのが作風である士郎正宗に対して
映像に独特の間や構図で物語に哲学性と神秘性もたらすのが得意な押井守。
2つの抜きんでた才能の出会いは単なる偶然を越えた
その才能故の必然めいた因縁を感じてしまう。
物語自体はさほど複雑ではないが、
CGを多用したサイバー的な映像に驚嘆し、そして恐怖を感じる以上に
ロボット、人間、ネット、技術といった物事に対して
受け手は己の知識、認識、位置を問われる。
技術が進んだ故に、物事の境界が曖昧になりつつある昨今
魂とはただの人の記憶に過ぎないのか、
生命は何をもって命と呼ぶことができるのか
その答えは、どこにあるのだろう。