チャーリー・ワイスへの手紙1

フットボールである限り、勝敗は大事ではあるけれど、人間の命や、男の約束よりは大事だとは思わない。
タック牧田


チャーリー・ワイス様へ。




名門大学チームの監督就任おめでとうございます。
伝統というプレッシャーと日々戦われておられることだと思いますが、貴方の努力が素晴らしい結果をもたらすことを信じています。ここ数シーズン、我が愛すべきファィティング・アイリッシュは低迷が続いておりますが、ニューイングランドペイトリオッツでオフェンスコーチとして披露した貴方様の見事な手腕を、この地でも存分に振るわれることを心から願っています。私も家内もインディアナ州で生まれ育ち、昔からのアイリッシュのファンで、二十数年間スタジアムに足を運び続けておりました。残念なことに今年はあの素晴らしいスタジアムでマーチングバンドの軽やかな演奏を聴いたり、貴方の指揮ぶりを見ることができません。テレビの前になりますが、精一杯応援させていただきます。


私どもには、 大学の OBにしてかの有名なQBの名前をあやかって名付けたモンタナという子供がいます。当年10歳になります。脳腫瘍を患い余命いくばくもありませんが、彼も熱心なアイリッシュのファンです。今の息子にとってアイリッシュの勝利だがけが生きる希望なのです。このようなことを面識もないあなた様にお願いするのは筋違いかもしれませんが、何十分の一でも何百分の一でも構いません。どうぞ息子のために素晴らしい勝利をお願いします。


見ず知らずの者からのいきなりの手紙で、驚かれたでしょうが、貴方が指揮を執っているチームには大勢のファンがついているということをご理解していただきたく存じます。そしてこの不躾な手紙をご容赦下さい。では、貴方様とアイリッシュの健闘を心よりお祈りいたします。


モンタナの父より


「チャーリー・ワイスへの手紙2」へ続く