金曜の夜、NHK-BSでアメフトを見ようと思ってテレビをつけたら
放映時間にはちょっと早くワールドウオッチが放送されていた。
それはシベリアの北に住む捕鯨の民であるチュクチという人達の生活を映したドキュメントで
鯨を捕りそれを住民全員で平等に分配し、海からの恵みを鮮やかな民族衣装で踊りながら
精霊に感謝する場面などが記録されていた。


想像でしかないが、「鯨一頭揚がれば七浦潤う」と
C.W.ニコルが描いた捕鯨華やかなりし頃の太地の港や
アイヌの宴もこういう「匂い」がしたのではないだろうか。
アイヌの人達も狩りで熊を捕まえた後、
その魂が天界に迷わず辿りつけるように、
熊を神(カムイ)と呼び崇めるのが習わしだったと聞く。


こうした儀式や考え方を
世界各地に散らばるアミニズム共通するものといってしまえば、それまでだが、
動物の命に敬意を払い、それに感謝するという行為は、
餓からの解放を願うという行為の裏返しであり
「食」というもが生を維持するためにどれほど大切であるかを証しているのだと思う。


アイヌの言葉でカムイは、「神」と解釈されていることが多いが
人知の及ばないもの全てに該当する言葉であり、
チェクチが祀る「精霊」に近いのではないだろうか。
餓えからは解放されたが、精霊の声が聞こえない暮らしの中でそう思った。