タカユキ


新聞紙の予想では、先発のFWに殆ど西澤の名前が挙がっていた。
ベルギーは大型選手が多く、
フィジカルに強いFWが適しているというのがその理由だ。
しかし、新聞記者の多くが見落としている点がある。
鈴木隆行ほど、前線で体を張れるFWはいないのだ。

四年前は、ワールドカップなんて、関係なかった。」

鹿島に入団したものの柳沢や平瀬の影になり、8度の移籍を繰り返した。
2度のブラジル・CFZへの移籍で、サッカーを続けていく自信を失ったこともあった。

2000年、柳沢、平の二人が五輪代表に選ばれたことによって
彼の道が突然開いた。
レンタの先の川崎から急遽鹿島に呼び戻され、
鹿島のFWとして出場する機会が巡ってきたのだ。
そこで彼は、どん欲にゴールを重ね続け、チームをナビスコカップ優勝に導く。


そして、日本代表への召集されて、
初先発となったコンフィデレーシヨンカップカメルーン戦で2ゴールで決める。
今年は、代表に定着したもののゴールから遠ざかり、
能力を疑問視する声が多くあがっていた。
点の取れないFWと批判する声もあった。
だが、彼は、肉体以上に強靱な精神をもって、雑音を振り切り、ゴールを決めた。