いつか来た道

http://mainichi.jp/select/world/news/20101111ddm041040095000c.html

◇戦前を思い起こさせる−−青山学院大教授・大石泰彦氏(メディア倫理法制)


政府の方針に納得できないからと言って公務員がネットに情報を流出させる行為は許されるべきではない。戦前、一部の軍人が自分の正義感に基づいて起こした勝手な行動を思い起こさせる。それでは公務員はどうすれば良いのか。民主主義社会ではジャーナリズムが政府を監視する役割があり、情報の取り扱いのプロであるジャーナリストを通じて社会に訴えるべきだった。映像だけが流れるネットでは受け取る側は感情に流れやすい。ジャーナリストによる見極めや十分な解説が加えられた情報の方が正しく判断ができる。取材協力は正当な行為であり、ジャーナリズムも知る権利に応え、取材源として守るという形が望ましい。


ここしばらく、毎日新聞の記事を読む限り
そのスタンスは政府の仙谷官房長官にそれに近いようで
今回の問題を公務員の暴走あるいは情報流出問題として捉えているようだ。


それは、問題のすり替えに過ぎない。


今回の尖閣ビデオ流出事案は、
ここ数年winnyをはじめとするファイル共有ソフト
部外秘の情報を流出させた警察や防衛省などの官公庁のケースと
明らかに異なる。
sengoku38はこの情報を意図的、または確信犯的にネットに流した。

このビデオを闇に葬れていけない、と語っていたとの報道を
今の段階で全面的に肯定するわけには行かないが
それ以外の理由があったとしても、些事にすぎないのではないかと推測する。
その根拠となるものは
日本人としてのもっているであろう倫理観以外に頼るすべはなく
極めて曖昧なものではあるが。


かつて、この国を支配した武士の倫理では
主君が誤った場合は、自身の命を賭して諌めるのが忠義であった。
sengoku38の行動に侍を見た、というのは
やや褒めずきと受け取られるきらいもあるが
自らの職を賭して行った行為を日々安穏に住している人間に
批判できる権利などない。
彼は侍の末裔に恥ない行動をした。




今回の内閣の対応に納得した公務員、
あるいは国民がどれほどいるのだろうか。
命を賭して公職に就くほとんどの者は、彼の行為を是とするだろう。
確かに公僕たる公務員としてsengoku38の行動は誤っていたが
しかし、人間として、日本人として彼の行動に大きな賞賛を贈りたい。


そして、戦前の軍部が独断専行で悪とするならば
それは中国に阿り、国民が激昂して政府を批判するからとの理由で
ビデオを非公開にし、責任を那覇地検に押し付けて
恥としない厚顔無恥な人間こそ、その批判を受けてしかるべきだろう。


民主党にべったりのマスコミと御用学者に委ねろとは
己を過信するのも甚だしい。
思い上がった世間知らずの戯言を
繰り返すから新聞やメディアが
信頼を失う事実を彼らは認めることができない。
それが臆病者のプライドなのだろう。


流出の責任を追求している自民党
1年で野党ボケしたと批判されるべきである。
内閣に糺べきは、公務員の尊厳を踏みにじった内閣の愚行と
国家の安全保障と外交に定見を持たない無能と無知と無恥である。