「正道を踏み国を以(もっ)て斃(たお)るるの精神無くば、外国交際は全(まった)かる可(べ)からず。彼の強大に畏縮し、円滑を主として、曲げて彼の意に順従する時は、軽侮を招き、好親却(かえっ)て破れ、終に彼の制を受るに至らん」(岩波文庫西郷南洲遺訓』一七)


西郷隆盛の遺(のこ)した文章のなかでも、この言葉ほど日本の外交環境を憂える者に勇気を与える表現はない。西郷の言葉は、国土交通相だった前原氏も高く評価した海上保安官たちの毅然(きぜん)とした対応や司法当局の自律性とさながら重なるかのようであり、日本人の耳朶(じだ)を打ってやまない。現代語に訳しても、西郷発言の格調の高さは変わらない。

http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/100923/acd1009230847002-n2.htm

9月23日付の産経新聞に、紹介されていた
西郷隆盛の言葉に裂帛たる意志に
目が覚まされる思いがした。
彼の言葉により民主党のみならず、自民党政権時代にも、
この国の外交に欠けていものが何かを理解することができた。


その翌24日に
尖閣諸島で不法操業し、警告を発した海上保安庁の巡視船に
体当たりした中国漁船の船長に釈放に関する政府の対応について
この西郷の言葉の他にいいおくことはない。


検察庁が決定した事項と仙谷官房長官はぬけぬけと発表していた。
無能者にして無責任の集団に官僚をコントロールでできるわけないと
政権発足当初より見切っていたが、
仮に検察庁が単独で日中の政治情勢を勘案して決定したのであれば、
それは検察庁の考慮の仕事ではないと制動するのが
政治だろう。
責任を官僚に押し付けて、政権の責任を回避しようというのが
あからさまに見てとれる態度は、
為政者というより、大人の人間として基本的な資質が
不足していると断じて差し支えないだろう。


もともと、そういう輩だから、批判や健策は無意味に等しく
何ももの申す気もないが
ただ、この連中の跳梁跋扈を防げなかったことに対して
後世に対して深く恥じ入るのみである。


船長釈放は、菅政権の咎ではあるが
自民党もこの件では反省するべきことは多々ある。
領有問題について、事立てることないよう穏便に処理し、
尖閣問題の根本的な解決を怠っていたという批判を
受けるべきであろう。


しかし、日米同盟に絆にヒビを入れ、
中国につけいる機会を与え
今なお反省どころか、大上段で物申しているたルーピーの言動だけは
許しがたいものがある。

尖閣衝突の一因

己を知らず、道理をわきまえない人物が国政に一定の影響力を持ち続けることは、国民にとって不幸そのものだ。6月の首相辞任後も、ますます元気な鳩山由紀夫氏を見ていてつくづく実感する。
「私の首相時代に(日中関係は)非常に良くなってきたが、突如また崩れていくのは非常に忍びない」


鳩山氏は19日、国連の会合出席のため滞在中の米ニューヨークで記者団にこう語った。沖縄・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件を受け、緊張が高まる日中関係についての所感としてだ。自分が首相だったらもっとうまくやっていたと言いたげだが、そう信じているのは本人だけではないか。逆に、中国側が日本政府を甘くみて増長した一因は鳩山氏のこれまでの言動にある。


鳩山氏は5月の全国知事会議で、政府が「日本固有の領土で、歴史上、国際法上ともに疑いがない」と表明してきた尖閣諸島に関し、次のように発言した。「(米国は)帰属問題は日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して結論を見いだしてもらいたいということだと理解している」これを伝え聞いた外務省幹部は「えっ、そんなことを言ったのか…」と絶句した。鳩山氏の言葉は、まるで政府が「存在しない」との立場をとってきた領土問題の存在を認めた上で、これから中国と話し合う用意があると言っているかのように聞こえるからだ。


米軍普天間飛行場の移設問題をめぐる「罪万死に値する失政」(5月29日付日経新聞社説)で、日米関係を戦後最悪としたのも鳩山氏だ。それが中国側の強硬姿勢の背景にあるという点にも、鳩山氏は考えが及ばないのだろう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100926/stt1009260308000-n1.htm

そもそも菅政権は最初に船長逮捕に踏み切った時、その後の中国側の出方や最終的な着地点を描けていたのか。船長の勾留を延長した判断も含め、民主党外交の甘さを指摘されても仕方ない。苦い教訓として猛省すべきだ。日本はこれからも、発展する中国と必然的に相互依存関係を深めていく。それは日本自身の利益でもある。


簡単に揺るがない関係を築くには、「戦略的互恵関係」の具体的な中身を冷徹に詰めていく必要がある。何より民主党政権に欠けているのは事態がこじれる前に率直な意思疎通ができるような政治家同士のパイプだ。急いで構築しなければならない。

http://www.asahi.com/paper/editorial20100925.html

さすが朝日の社説である。
相手に利用されるだけ利用されるようなパイプだけ構築したところで
全く意味はないし、かえって害悪ですらある。
去年、小沢先生に率いられて中国に修学旅行にいった民主党の生徒たちに
どんなパイプが構築できるというのか。
戦略的互恵や友愛など耳障りのいい言葉で、おためごかししているときではない。
無能者をいかに、いつまでに排除するかが焦眉の急である。