ふるさとのなまりなつかし

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070831ig15.htm

劇作家の加藤道夫は戯曲「なよたけ」などで知られる。劇団「四季」を主宰する浅利慶太氏は高校生のころ、師の加藤が東北弁について語るのを聞いた◆日本で一番美しい言葉であり、「あのやわらかな響きが標準語だったら、日本におけるオペラと詩劇の完成は一世紀早まっただろう」。そう述べたと、浅利氏の著書「時の光の中で」(文芸春秋刊)にある◆劇界の鬼才が残した言葉を咀嚼(そしゃく)する力はないが、宮城県栗原市がきょう制定する市民憲章の本文67文字を眺めていると、方言のもつ響きの魅力は確かに伝わってくる◆「眼(まなぐ) 光を見つめ/足 大地を踏んまえ/手 明日(あした)をぎっちり押さえ/腹ん中 熱(あ)っつぐ熱っつぐ 額(ひて)こびに広がる宇宙/天駈(あまか)ける駒にまたがり/われらいま風を切って走る」◆田舎を強調しすぎている、との批判もあったと聞くが、「め」や「まなこ」よりも「まなぐ」の放つ光は強く、「熱く」よりも「熱っつぐ」の温度が高いことは誰もが認めよう。この憲章を契機に各地方で伝統の言葉が見直されるならば、それもまたいい◆9月の声を聞くと、思い出す方言がある。夕暮れにカナカナと鳴くヒグラシを、ある地方では「日暮れ惜しみ」と呼ぶという。これも加藤の言う“やわらかな響き”だろう。命を限りの「日暮れ惜しみ」の声とともに夏がゆく。

数年前、名古屋でローカル放送のDJを勤めていた伊藤秀志
平井堅の「大きな古時計」のヒットにあやかって
番組内で「大きな古時計」を秋田弁を唄った。
彼はリスナーが笑うことを予想していたのだが
意に反して音韻の美しさに感動する人が続出してしまい
あまりの反響の大きさにCDを販売にいたった。
勿論、冗談や興味本位で購入した人もいただろうが
東北地方の言葉が持つ韻の響きの美しさに目覚めた人も少なくなかった。
かくいう自分も面白半分で購入したのち
彼の唄う言葉の響きに魅了されてしまったうちの一人である。


司馬遼太郎は生前、青森とか東北の言葉を
その音韻の響きの美しさから音楽と形容した。
読売新聞のコラムを読んで
青森とか東北の言葉を美しいとか云ってるのは、
お前と司馬遼太郎だけと云われた6年前が
ふとなつかしくなった。


おまけリンク秋田弁で唄う伊藤秀志の「案山子」