「ふざけるな」
読み終わってこみ上げる感想はそれのみ。
外務省の幹部、政治屋に対して憤りが溢れてくる。
ここまで国民の声を無視して利権や栄達にむらがる者どもは
本当に日本人なのか。
北朝鮮の核開発疑惑が高まる中、
米国にとって最悪ともいえるタイミングでの首相の北朝鮮訪問
日米同盟破棄に繋がる危険もあったにもかかわらずそれを計画し
あまつさえ拉致被害者と核開発を無視して日朝国交正常化を推し進める官僚達
このあたりのエピソードは、2004年に読売新聞に連載していた政治の現場*1で
多少見聞きしていたが、米国の怒りが危険なレベルまで達していたとは
この本を読むまで知らなかった。
北朝鮮の核が開発されてこまるのはアメリカでなく日本だろー
米国政府に指摘されるまで気が付かない安全保障意識の欠落した外務省幹部
外交を国会対策延長で捉え、ミスリードし続ける自民党幹部
金正日の側近と名乗る怪しげな人物と交渉し
北朝鮮と交渉するたびにだまし取られる米と金。
また正規ではない交渉カードを確保するために、己の権力と能力誇示のために
逮捕寸前であった朝鮮銀行と朝鮮総連の幹部を捜査対象から外した挙げ句
公的資金を導入をリードするという泥棒に追い銭すら与える真似をするとは
開いた口がふさがらない。
冷戦構造が崩壊し、日米同盟の意義が薄れ
米国政府がアジアにおけるパートナーを日本から中国へとシフトしようとする中で
日本重視を説く親日の米政府高官に対して外務省幹部は裏切り行為を平然と行い
そして政治家と呼ぶに値しない政治屋は、拉致被害者奪回の機会が何度ありながら
北朝鮮に対する考察を怠り、国益を失わせしめ、あまつさえ米国の怒りを呼ぶ。
彼らには国益という観念が全く見あたらない。
情報が溢れる現代において国益とは国民の利益と無縁ではないと作者重村智計は述べる。
そうした意識の欠落が不祥事を呼び、更には国民の反感を買うという事実に
失脚するまで彼らは気付かなかった、否今でも理解していないだろう。
2002年平壌で日朝首脳交渉がもたれた時
安倍晋三と中山参与がいけなければどうなっただろうか。
国益というより人間としてのモラル欠ける者たちによってこの国の外交が
委ねられていたことに恐怖と憤りを覚えるとともに
そうした為政者に国政を託した選挙民たる国民も真摯に反省すべきである。
またマスコミも金正日と単独インタビューとか平壌の支局開設とかの巧言にのり
多額の金を長年振り込み続けるばかりか
北朝鮮と朝鮮総連の代弁者の如く言説を弄し、あまつさえ安倍晋三バッシングの
端棒を担ぐとは、社会の木鐸たる者として恥を知れ。
- 作者: 読売新聞政治部
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/01/26
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*1:のちに新潮社から刊行