マオ


マオ―誰も知らなかった毛沢東 上



毛沢東の想像を絶するまでの凄まじい残虐さー
昨年末くらいに書評や産経新聞のコラムで「マオ」の書評を読んだが
随分大げさに書くものだなと思っていた。
文化大革命によって約5千万人の同朋を死に追いやったことは知っていたが
残虐さでスターリンを上回ることはないだろうとタカを括っていた。
が「マオ」の上巻数十ページをめくっただけで、
その予想が誤りであったことを理解した。


正に血が凍るほどの狂気と恐怖。
これが隣の国の話だとしても、実話だと信じたくはないほどのおぞましさ。
成り行きで入党した共産党で、権力を握るために紅軍を乗っ取り
軍の実力者を告発し、拷問に掛けて殺し、党内での自分の地位を固めるために
味方である紅軍に無用の犠牲と消耗を強い
革命根拠地では、近くの農民から過酷な税や徴発を行いその多くを餓死せしめるその様は
血の色に魅入られた赤い悪魔としか形容のしようがない。


この本を読む限り長極共産党の歴史は
中国の人民の血で塗られたといっても決して過言ではない。
昭和初期において日本が中国大陸で悪いことを全くしてなかったとは言わないが
共産党、いや毛沢東を暴風雨に喩えるなら、日本軍の満州支配などそよ風程度であり
スターリンヒトラーも彼の行為に比べれば児戯に等しい
共産主義者ですらなかった彼は、ただの血に餓えたサディストであり
それ以外の何者でもない。


スターリン秘録

スターリン秘録

ワイルド・スワン(上)

ワイルド・スワン(上)

ワイルド・スワン(下)

ワイルド・スワン(下)