羞恥

汚れちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる

 
汚れちまった悲しみに
たとえば狐の皮衣
汚れちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる
 

汚れちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れちまった悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

 
汚れちまった悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる


「汚れちまった悲しみに」中原中也

お気づきの方もおられると思うが、
リンクに貼ってる波津見氏のブログのタイトルは
中原中也の詩の題名である。
神童と呼ばれながらも中学留年を期に
故郷を追い出させるように上京し、放蕩を続けた詩人
私は彼の詩がとても大好きである。




見渡せば白一色
鉛色の空を見上げ、凍てつく風に頬をさらし
中原中也の歌など久しぶりに口ずさんでみる。


汚れちまった悲しみは…


汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集 (集英社文庫)

汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集 (集英社文庫)