松竹の映画監督の小津安二郎が東宝のプロデューサーの藤本真澄にいった。
「サネズミ君、人間は少しくらい、品行は悪くても良い
品性は良くなければいけないよ」
僕は酒を飲む時のエチケットの要諦はこれに尽きると思っている。
「社会人入門心得」山口瞳」
夕べは、職場の方の定年記念パーティーがあって顔を出してきた。
会の結びに、出席者全員で二列になって手をつないだアーチをつくって
定年される方にその下をくぐってもらい送りだした。
いわゆる、アーチとか花道とか云われているセレモニーだが、
このセレモニーをやる時、きまって思い出すことがある。
それは、大学のフットボール部での納会で、最上級生を送り出した時のことである。
二列に並んでアーチをつくり、その下を送り出される側の人間がくぐるまでは一緒だが
先輩がアーチの下の入った瞬間、そこが戦場となるのだ。
まず、手おろして遮断機よろしく足を止めるか、上から頭か背中を叩く
これを連続すると敵は顔を上げられないので、誰が何をやっているのか分からない状態となる。
そうしたところに横からケリや膝蹴りを気のすむまでくれるのである。
いうなれば、上空からの集中爆撃で視界と行動の自由を奪い、
地上砲火で確実にダメージを与える攻撃方法である。
なんせ敵は、フットボール鍛えた頑丈な肉体であるので
ちょっとやそこらで壊れる心配がない、それどころかあっというまに突破してしまうので
例年、気を抜くことができない戦闘さながらの光景が展開される。
しかし、敵も人の子、アーチも終盤になるとつかれて足が鈍ってくる。
そこをすかさずリバース*1と叫び、アーチの入り口付近まで戻して
気が晴れるまで延々と続ける。
大学時代世話になり近所に住んでいるウミンチュ先輩が転勤になるということなので
今日の宴会の前に、頼まれていたビデオでも作ろうと思うのだが
それにしても、あの頃は若かったなぁ、品行も何もあったもんじゃなかった(遠い目)
- 作者: 山口瞳
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