朝テレビを見ていると、小沢征爾が広島でタクトを揮うため
その下見に訪れてたニュースが流れてきて
「広島と長崎は、原爆が初めて落とされた場所だから・・・
忘れてはいけない・・・」
とコメントした小沢征爾の言葉が耳に響いた。
最近、あちこちの書評で評価されているこうの史代の「夕凪の街桜の国」は、
原爆が落とされた後の広島を舞台にした物語である。
この手の漫画にありがちな、お説教臭さもなければ、歪んだ思想もなく
ヒロシマの人の生活の悲喜劇を淡々と綴っている。
淡々と日常を描いているものの、その根底には
言葉にならない怒りや悲しみが流れており、
そうした欄外からにじみ出てくる感情が、この作品に体温を与えている。
白土三平の初期作品にも確か似たような話があったと思うが
日本人として見つめなければいけないことを語る珠玉とも呼ぶべき作品だと思う。
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/10/12
- メディア: コミック
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