チェ・ゲバラの遙かなる旅


チェ・ゲバラの遥かな旅 (集英社文庫)
以前、横須賀のドブ板をニヤケ君と飲み歩いている時、
とある店で壁に飾ってあるチェ・ゲバラタペストリーを見て、
カストロだ」とボケたことがあった。



喘息持ちにして医者の資格を持ち、中産階級の生まれでありながら革命家
キューバでは、手痛い失敗したものの政府軍数万を相手に
12名の同志とともに諦めることなく奔走し、革命を成功させる。
革命後は、実質の外相として活動し世界の各国を歴訪
エジプトのナセルの農業政策を否定し
旧ユーゴのチトーには「この国は壊れやすいですね」といい放ち
挙げ句には、新生キューバ新スポンサーであるソビエトまで批判するなど
行動だけでなく、その言葉にも常に鋭い矢尻を持つ男だった。
常に自分の良心の、或いは心の命ずるままに行動した向こう見ずな彼を
ドキュメントを書いた戸井十月ドン・キホーテに見立てている。


キューバを出国後は、コンゴの革命に失敗し、ボリビアの革命に失敗し、
悲惨な死を迎えるが、それでも彼の人生に魅了されてしまう。
それは彼の「思想」が、比較するのもおこがましいが
スネかじりサヨク家と違う、心からの恕りに発しているからである。
彼の思想に全面的に賛意を示すことはできないが、
その行動力には圧倒され、つい賞賛の声を上げたくなってしまった。



英雄というより、永遠の放浪者、そう形容するのがふさわしい彼には
言葉フレーズが聞こえていたのかも知れない。
「ここではなく、どこか遠くへ」と