ブルースを浴びて暮らしたい


陽気な性格のくせに、
生まれながらのマイノリティー根性が染みついているtacaQは、
屈折した心理のせいかジャズとかブルースとか
やや暗めの曲が好きである。
この方面について、それほど詳しい知識があわけではないが
聞いてるどこか心か落ち着くのを感じる。


今、日記を書きながら綾戸智絵の曲を聞いている。
綾戸の声は、お世辞にもいいとはいえないハスキーボイスである。
しゃがれた声で唸るようなボーカルだが、
聞いていると人の温もりに似た暖かさを感じ、安らぎを覚える。
それが例え、悲しみを表した歌だとしても。


日曜日、仕事場で何気にテレビを付けていたら、
ジャズ・ボーカリスト綾戸智絵の半生がドキュメンタリーで放映されていた。
途中まで「なんやコイツ、ただのアメリカかぶれやん?」と見ていたのだが
「ルート66」を歌ったライブのシーンを見た途端、背筋に電流が流れた。


現在、綾戸は乳ガンにかかり抗ガン剤を服用しているが
一時期クスリの副作用により一時期は声がでなくなった。
40代にして巡ってきたCDデビューの話が流れそうになったのだが
それまでと違う発声方法を修得して再び音楽を、歌声を取り戻す。
声を取り戻したといっても、彼女の音域はせいぜい1オクターブでしかないのだが
その低く唸るような歌声は、魂の底を揺り動かすのに十分なパワーがある。



CDデビュー後は、音楽ではなく
ガンとの闘病がマスコミにクローズアップされ注目を浴びて
また、浪花節で同情を売ってるシンガーとして同業者から冷ややかな目で見られて
綾戸自身、かなり凹んだ時期があったそうだが
とあるコラムの記事で綾戸は自分の音楽に対して自信を取り戻す。

「綾戸を悲劇のシンガーとかの枠でくくらず、彼女の歌を素直に聞け。」と

確かにその通りである。
彼女の歌は掛け値なしに凄い!
月並みな表現で恐縮だが、彼女の歌にはソウルがある。
このオバハン、ただものではない。

Best Chie Ayado