変わらないもの



時の語源は、一説によると速く過ぎることから
「疾(とき)」が転じたものだという。
時間が、矢のように速いとことを考えれば
むべなるかな、と思う。


生きてる人間は、良かれ悪かれ、過去を忘却していく。
忘却することが動物としての本能ならば
変わらないものを求めるということは、
そうした本能に対する抗いなのだろうか。



ところ問わず書き残すという行為ー
過去の出来事を記憶に押しとどめようとすることは
悠久の滂沱たる時の流れの前で
蟷螂の斧をふるうようなものだと知ってはいても
非力なかいなを動かさずにはいられない。


それを生きた証をこの世に残したいと願う動物としての
あるいは、個体としての変化した本能の一つと自得させてみる。


形ないものを抱きしめようとも
変わらないものを探しつづける。