ex machinaエクスマキナ


士郎正宗原作の「Apple seed」を
CGにより映像化した作品。
アクターの演技と表情をキャプチャーして
アニメーション化しているので
キャラクターがCGとは思えないほどリアルな動きを
見せた衝撃の前作よりさらに細かい部分で進化が進んでいた。
作品のタイトルを「Apple seed 2」とせずに「exmchina」としたことから
前作を凌駕しようとするスタッフやプロデューサーの意図は読み取れるのだが
そうした熱意が上滑りしていたように見える。



これだけアニメでリアルな動きができるように映像を見せつけられると
この作品をアニメで作らなきゃ行けない理由は?
という疑問が常にもたげてくる。
実写ではできないアクションやカメラワークを可能として
実写以上のリアリティを求めるならば、
シナリオもそれなりのレベルが求められるのだが
今回のシナリオは前作以上にチャチく、
残念ながら従来の"子供のアニメ"を越えていない。


映画用にオリジナルの脚本を用意するのはいいとしても
主役の三人に三角関係を設定し
微妙な心の動きもアニメで表現できるということを
強調したかったのだろうが
原作で士郎が様々な寓意や文句を使って読者に問いかけた
"ヒト"とは何かという命題がまったく切り捨てられているのは
原作を知るものとして納得できるものではない。


前作もオリジナルの物語だったが、
この点で最低限の配慮がなされており、我慢に耐えうるレベルだったが
今回はちょっとあまりにも勧善懲悪的すぎた。
この程度のシナリオであれば、わざわざ「apple seed」のキャラクターを
使わなくてもいいだろうし、ここまで手間暇かけて
アニメにする必要はなかったような気がする。